妊娠中はホルモンバランスの変化の影響により、肌荒れしやすいと言われています。
シミ・そばかす、ニキビ、湿疹、かゆみなど肌荒れによるトラブルは妊婦さんによって異なります。
このようなトラブルを少しでも未然に防げるように、ここでは次の流れで妊婦さんのスキンケアについて解説していきます。
- 栄養バランスのとれた食事を摂る
- 葉酸の含まれた食べ物を摂る
- ビタミンCの含まれた食べ物を摂る
- ビタミンEの含まれた食べ物を摂る
- なるべく睡眠をとるようにする
- 適度な運動を行う
- 紫外線対策を行う
- 肌への刺激を少なくする
ここでの情報があなたのマタニティライフを少しでもサポートできますと幸いです。
1.栄養バランスのとれた食事を摂る
食事にかたよりがあると、綺麗な肌に欠かせないミネラルやビタミンが不足がちになります。
特に妊娠生活が始ったばかりのプレママの方は、普段の食生活を見直しておくことで肌荒れ防止につながります。
厚生労働省が作成した電子冊子「妊婦さんのための食事バランスガイド」はとても参考になります。
次のイメージ図は内容の一部ですが、「1日に何をどれくらい摂れば良い」かが視覚的に分かるので便利です。
▲ 1日分の適量と料理のイメージ例(引用:厚生労働省「妊産婦のための食事バランスガイド」)
主食:5|副菜:5|主菜:3|牛乳・乳製品:2|果物:2
1日に「主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物」をそれぞれ表の左側にある数値分摂ることで、栄養バランスの取れた食事内容になります。
主食に関しては2つ分の「うどん」「スパゲッティ」などで簡単に1日の上限分を摂れそうですが、副菜に関してはまとめて買い込むなど工夫が必要になりますね。
ちなみに妊娠初期(4〜15週=2〜4ヶ月)の1日の食事推奨量は、妊娠前と同じです。
ただし、妊娠中期(6〜27週=5〜7ヶ月)になると「副菜、主菜、果物」を各1つ分追加。
妊娠後期(28〜39週=妊娠8〜10ヶ月)に関しては、「主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物」全て1つ分追加となります。
つわりで辛い時の食事の摂り方
つわりがひどくて食欲が湧かない時は、無理に食べる必要はありません。
1回の食事量を減らし、例えば「1日5食」摂るようにするなど胃腸への負担を減らすことが大事。
また「お腹の赤ちゃんのために、ちゃんと栄養バランスを考えて…」とこだわる必要はありません。
あなたの好きな物でかまわないので、食べれる時になるべく食べるようにしましょう。
20年以上現場でママと赤ちゃんをサポートしてきた助産師、浅井 貴子さんによりますと、軽食を手元に常備することをお勧めしています。
酸味がある「レモン飴」「ラムネ菓子」「減塩の梅干し」「ガム」「小さめのおにぎり」などはつわり軽減用の常備食。
枕元にも何かしら置いておき、起きてすぐ口に入れることで起き抜けの不快な気分が和らぎます。
引用元:AMOMA「助産師が教える!つわりを軽減する方法」
またこまめに水分補給することにも触れています。
浅井さんは「ポイントは空腹感をつくらないようにすること」だとおっしゃっています。
そうすることで、つわりの軽減が期待できるようです。
2.葉酸の含まれた食べ物を摂る
先ほどの厚生労働省の「妊産婦のための食事バランスガイド」でも触れていますが、妊婦さんに欠かせない栄養素に「葉酸(ようさん)」があります。
妊婦さんが葉酸を摂取する主な目的は、お腹の中の赤ちゃんのためです。
妊娠7週目までに葉酸の含まれた食事をしっかり摂ることで、活発に起こる胎児の細胞分裂をサポートする働きをします。
さらに葉酸の嬉しい効果として、肌のターンオーバー(表皮の新陳代謝)を高める働きがあります。
葉酸を多く含む食材
では葉酸はどのような食材に多く含まれているのでしょうか?
医師の矢追 正幸先生(矢追医院 院長)の監修記事に「葉酸は主に緑黄色野菜、レバー、柑きつ類に多く含まれている」と解説されています。
ちなみに1日の推奨量は、妊娠前で 240 μg(マイクログラム)、妊娠中は その倍となる 480 μg となります。
それでは葉酸のたっぷり含まれた食材を見ていきましょう。
■肉類
- レバー(牛)100g…葉酸1000μg
■野菜類
- 芽キャベツ(茹)100g…葉酸240μg
- 菜の花(茹)100g…葉酸190μg
- グリーンアスパラガス(茹)100g…葉酸180μg
- 枝豆(茹)50g…葉酸130μg
- ブロッコリー(茹)100g…葉酸120μg
- サニーレタス100g…葉酸120μg
- そら豆(茹)100g…葉酸120μg
- ほうれん草(茹)100g…葉酸110μg
- 春菊(茹)100g…葉酸100μg
- モロヘイヤ(茹)100g…葉酸67μg
■果物類
- マンゴー200g…葉酸168μg
- ネーブルオレンジ300g…葉酸102μg
- いちご100g…葉酸90μg
- アボカド100g…葉酸84μg
■その他
- 焼きのり10g…葉酸190μg
- とうもろこし(茹)200g…葉酸172μg
※μg=マイクログラム
引用:ヘルスケア大学「葉酸が多く含まれる食べ物・食品(監修:矢追医院 矢追 正幸院長)」
ただ体調が優れない、つわりで食欲が湧かない時などは葉酸のサプリメントを活用しましょう。
「480 μg」「400 μg」どっちが正しい?
ちなみに2015年に発表された厚生労働省の「妊娠中は480 μg」と2000年頃に公表された当時の厚生省の「妊娠中は400 μg」とは異なる数値となっています。
これが一人歩きしてある情報では「480 μg」、ある情報では「400 μg」となっていて混乱しますね。
結論だけ言いますと「妊娠中は480 μg」が1日の推奨量で問題ないようです。
興味のある方は、アシストワンさんの記事「妊娠中に必要な葉酸は400μg?480μg?」をお読みください。
非常に分かりやすく解説されています。
3.ビタミンCの含まれた食べ物を摂る
ビタミンCの肌にとっての効果は、主にシミなどの原因となるメラニンの発生を防ぐことです。
この他に紫外線による皮膚の炎症を抑える働きなど、肌トラブルの改善が期待できる成分です。
ちなみにビタミンCの推奨量は、成人(18歳以上)の人で 1日当たり 100 mg です(厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2015年版」)。
続いて、ビタミンCがたくさん含まれている食材を見ていきましょう。
※参考記事:ビタミンC食品「ビタミンCを含む食品 って何があるの?」
ビタミンCが多く含まれた野菜
ビタミンCの多い野菜は「ピーマン」であることが分かります。
食品名 | ビタミンC含有量(mg/100g) |
赤ピーマン(生) | 170mg |
黄ピーマン(生) | 150mg |
パセリ(生) | 120mg |
青ピーマン(生) | 76mg |
ブロッコリー ゆで | 54mg |
カリフラワー ゆで | 53mg |
また、生で食べた方が多く摂取できることも分かります。
ただ生ピーマンを使ったサラダばかりだと食べ飽きてしまいますよね。
そこでお浸しや加熱調理にして食べるなど、調理法に一工夫こらすのがコツのようです。
ポイントとしては「水洗いは手早く、加熱はし過ぎないこと」だと表をまとめた筆者であり、栄養士の さくらかわさん は解説しています。
ビタミンCが多く含まれた果物
実はビタミンCをたっぷり含む果物は、圧倒的にアセロラです。
ただ生のアセロラは一般のスーパーで入手困難なため、あえて外しています。
食品名 | ビタミンC含有量(mg/100g) |
ゴールデンキウイ(生) | 140mg |
柿 甘がき(生) | 70mg |
キウイフルーツ(生) | 69mg |
イチゴ(生) | 62mg |
レモン 果汁(生) | 50mg |
4.ビタミンEの含まれた食べ物を摂る
ビタミンEには、皮膚の新陳代謝を高める効果が期待でき、さらに細胞再生を助ける働きがあります。
一番ベストなのが、ビタミンCとビタミンEを一緒に摂ること。
これにより肌トラブルの防止効果が高まることが分かっています。
1日当たりのビタミンEの推奨量は、成人(18歳以上)で目安量が 6.5 mg です。(厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2015年版」)
そして耐容上限量は、18~29歳で 800 mg、30~49歳で 900 mg 。
耐容上限量とは、ビタミンを過剰摂取しても健康を害さないとされる最大限度量のことを指します。
それでは、ビタミンEが多く含まれた食べ物をチェックしましょう。
ビタミンEが多く含まれた食品
主に油脂類にビタミンEが多く含まれる食品が多いことが分かります。
油脂類
食品名 | 含有量(mg/100g) | 一単位あたり重量(可食部) | 一単位可食部あたりの成分含有量 |
ひまわり油 | 38.7mg | 大さじ1杯12g | 4.6mg |
綿実油 | 28.3mg | 大さじ1杯12g | 3.4mg |
べにばな油 | 27.1mg | 大さじ1杯12g | 3.3mg |
米ぬか油 | 25.5mg | 大さじ1杯12g | 3.1mg |
ナッツ類
食品名 | 含有量(mg/100g) | 一単位あたり重量(可食部) | 一単位可食部あたりの成分含有量 |
アーモンド(フライ) | 29.4mg | 10粒14g | 4.1mg |
ヘーゼルナッツ(フライ) | 17.8mg | 10粒15g | 2.9mg |
魚介類
食品名 | 含有量(mg/100g) | 一単位あたり重量(可食部) | 一単位可食部あたりの成分含有量 |
あんこうきも | 13.8mg | 1切れ50g | 6.9mg |
からすみ | 9.7mg | 1/2腹70g | 6.8mg |
うなぎ(白焼き) | 5.3mg | 1串100g(100g) | 5.3mg |
うなぎ(かば焼き) | 4.9mg | 1串100g(100g) | 4.9mg |
たらこ | 7.1mg | 1腹60g | 4.3mg |
辛子明太子 | 6.5mg | 1腹60g | 3.9mg |
にじます | 5.8mg | 1切れ100g | 5.8mg |
野菜
食品名 | 含有量(mg/100g) | 一単位あたり重量(可食部) | 一単位可食部あたりの成分含有量 |
西洋かぼちゃ(ゆで) | 4.7mg | 煮物一人分(130g) | 6.1mg |
※引用元:ビタミネ「ビタミンEの多い食品・食べ物と含有量一覧」
うなぎ や たらこ、明太子等の海鮮系にたっぷりビタミンEが含まれていることが分かりますね。
5.なるべく睡眠をとるようにする
妊婦の睡眠について、妊娠・出産サイト『イクシル』の専門家が監修した記事には次のアドバイスがありました。
胎児は3、40分おきに睡眠をとるので、妊婦の睡眠量が胎児に影響する事はほとんどありません。
ただし、睡眠不足の状態は自律神経やホルモンのバランスが崩れやすく、むくみを起こしやすくなるので出産の際のトラブルが心配です。
コメント:外科看護師
睡眠は妊婦さんにとってとても重要な行為です。
しっかり睡眠をとることで、成長ホルモン(体の機能を正常に働かせる生理物質)が正常に分泌されて、肌や体調が整いやすくなるのです。
ただ、つわり・ストレス・寝付けないなど妊娠期特有の状態から寝るのが難しいケースもあります。
その時は眠りを誘うために好きな音楽を聴く、アロマでリラックスする、温かい牛乳を飲んで身体を温めるなど、自分がリラックスできる方法を見つけてみましょう。
ちなみに寝る前の注意点として、3時間の食事はNG、お風呂は睡眠の1時間前まで、寝る直前のテレビやスマホはNGなどが挙げられます。
6.適度な運動を行う
最近では妊婦さんが運動することのメリットの多いことが注目されています。
運動不足の解消はもちろん、疲労によってよく眠れるようになったり、腰痛・便秘・手足のむくみの改善にも効果があると言われています。
「妊娠中の運動は有酸素運動が基本」とご教示してくれるのは、産科医の竹内 正人先生です。
有酸素運動とは、リズミカルに繰り返して体を動かし、酸素を使ってエネルギー源として体内に蓄えられている脂肪を燃やす運動のことです。
引用元:AllAbout「妊娠中・妊婦におすすめの運動と注意点」
妊婦さんに一番最適な有酸素運動は、ウォーキングです。
そして、効果を挙げるためには20〜30分続ける必要があります。
また、竹内先生は運動をする際の注意すべき点についても触れています。
■ぺースを守って
元気なときは速く歩き、疲れたら遅くなるというのではスポーツにはなりません。1分間に60メートルくらいのスピードで歩くのが妊婦さんには最適。まずは毎日最低30分くらい続けて歩くのを目標に。
運動前には必ずストレッチを行うこと。そして疲れたと思ったら無理せず休みましょう。
7.紫外線対策を行う
一般的なシミの原因は「紫外線」で、妊娠中の主にシミなどは「女性ホルモン」が原因とされています。
ただいずれにしても、メラニン(肌の色素)が活性化されると結果的にシミなどの肌トラブルを招きます。
このため普段から紫外線対策を心掛けることが大事です。
その中でも妊婦さん(特に日焼け止めクリームの匂いがダメな方、又は敏感肌になって塗りたくない方)に積極的に取り入れていただきたい紫外線対策はこちらです。
- 帽子をかぶる
- UV加工の服を着る
- 日傘を使う
- UVカットのサングラス(帽子のつばが広いなら不要)
かなり基本的なことなので今更感は否めませんが(笑)、それだけ紫外線は肌への影響が強いことをお伝えしたかったのです。
日差しの強い日はなるべく室内にいることがベストですが、ただ外出しなければならない用事がある場合、日陰を歩くように意識しましょう。
8.肌への刺激を少なくする
顔をゴシゴシと強く刺激することで、シミなどの原因となるメラニンが余計に増えることを医師の石橋 正太先生(品川スキンクリニック表参道院)は教えてくれます。
意外と知られていませんが、皮膚が摩擦などの物理的な刺激を受けると、防御反応としてメラニンがたくさん生成されます。
引用:NICOLY「そのシミ「肝斑」かも? 原因や治療法を知って、早めのケアを!」
メラニンが増えればシミが現れます。また顔を強く洗うと洗い流された皮脂(アブラ)が過剰に分泌してニキビの要因ともなります。
特に妊娠中は敏感肌になりやすいので、妊娠中だけでなく産後も肌トラブルで悩まされる可能性があります。
そこで防止策として、次の2つに注意しましょう。
- スクラブ洗顔商品を使ってゴシゴシ顔を洗うのはNG!
- 美顔器で強いマッサージを行うのはNG!