「分かっていてもブラシについた大量の抜け毛にショック…」「もう排水口の自分の髪を掃除したくない…」
なぜ産後にごっそりと髪の毛が抜け落ちるのでしょうか?
ここでは理解しやすくするために髪のメカニズムに触れて、抜け毛の原因を次の流れで解説していきます。
初めてのママが読んでも分かりやすいように、専門用語には必ず説明をつけています。
安心して読み進めましょう。
1.ヘアサイクル(毛周期)とは?
髪の毛1本1本にはそれぞれ寿命があります。
この毛髪が誕生してから抜け落ちるまでの過程を「ヘアサイクル(毛周期)」と呼びます。
形成外科医師の峯岸 祐之先生(みねぎし まさゆき・東京国際クリニック院長)によりますと、ヘアサイクルは女性では約4年~6年、男性で約3年~5年の周期を繰り返すようです。
まずは健康なヘアサイクルを見ていきましょう。
健康なヘアサイクル
▲画像引用元:医療法人元気会 わかさクリニック「薄毛・抜け毛治療(女性)」
上図の通り次の3つの過程を繰り返します。
- ①毛髪が生まれて成長する
(早期・成長期) - ②成長が止まって脱毛準備に入る
(退行期) - ③毛髪が抜けて毛根がお休みする
(休止期)
健康なヘアサイクルが営まれている頭皮では早期・成長期と休止期の割合は一定に保たれます。
つまり、一般の方で毎日50~100本の毛が生まれ変わりますが、この“抜ける本数”と“生えてくる本数”がほぼ同じという訳ですね。
よって頭髪の総数が安定している状態と言えます。
乱れたヘアサイクル
一方、何からしらの要因でヘアサイクルが乱れてしまうと、早期・成長期が短くなり、休止期が長くなります。
ヘアサイクルが乱れると成長期は数ヶ月〜1年(健康な女性で4年~6年)しかなくなり、頭髪の総数も少なくなります。
これが抜け毛のメカニズムですが、女性と男性とでは抜け毛の原因や症状は異なります。
女性の場合、加齢・更年期障害による女性ホルモンの減少・妊娠などによるホルモンバランスの変化が主な原因とされています。
この他にも睡眠不足、ストレス、過度なダイエットなどが挙げられます。
一方、男性の場合は男性ホルモンの影響による所が大きいと言われています。
これらをふまえて、次の当記事のメインテーマである産後の原因について解説していきます。
※参考情報:東京・丸の内の東京国際クリニック「薄毛の原因」
2.産後の抜け毛2つの原因
産後の抜け毛は次の2つが主な原因と言われています。
- 女性ホルモンの急激な変化
- 育児によるストレス
1つ1つ見ていきましょう。
2-1.女性ホルモンの急激な変化
妊娠期は女性ホルモンの分泌が非常に活発になります。
その中で特に体に影響を与える女性ホルモンには大きく次の2つがあります。
- 美肌ホルモン(エストロゲン)
- 不細工ホルモン(プロゲステロン)
ここでは理解しやすくするために「美肌ホルモン」「不細工ホルモン」と呼ぶことにします(笑)
美肌ホルモンは、たくさんの髪・豊満な胸・つややかな肌など、女性的な体を作る働きをサポートする役割をします。
一方、不細工ホルモンは生理前のようにイライラ・肌荒れ・むくみなどの原因とされています。
不細工ホルモンの名誉のために補足すると、女性の体が妊娠しやすいようにサポートする重要なホルモンです。
妊娠中はこの2つのホルモンが一緒に増加することで母体は守られ、安全な出産ができるわけです。
次のグラフをご覧ください。
▲参照画像:gooベビー「体のあちこちに色素沈着!原因はホルモンにあり」
妊娠前よりいかに女性ホルモンの量が増加し、出産後に激減するかが見てとれますね。
産後の抜け毛が多いのはヘアサイクルへ同時期に突入するため
ここで先に解説したヘアサイクルを思い出してください。
①早期・成長期(生まれて成長) → ②退行期(成長が止まる) → ③休止期(抜ける)
美肌ホルモンには毛髪の成長を促す働きがあり、不細工ホルモンには育毛を維持するような働きがあるようです。
妊娠中はこれら女性ホルモンの量が増加して「③休止期」が延長されるため、見た目はいつもより髪が多い状態になります。
しかし出産後、女性ホルモンの減少にともない、休止期に抜け落ちなかった毛髪たちが一斉に正しいヘアサイクルに入ろうとします。
妊娠前は毛髪たちはバラバラにヘアサイクルを繰り返していたので、多少の抜け毛は気になりません。
でも産後は一斉に同時期に健康なヘアサイクルに突入するため、ごっそり抜けおちた様に感じるのです。
生理現象で仕様がないとはいえ、少しでも予防となる方法を知りたい方は「産後の抜け毛が気になるママへ7つの予防対策」をお読みください。
2-2.育児によるストレス
産後は夜間を問わない授乳や1日に10回以上はあるオムツ交換など、赤ちゃんを中心とした生活が始まります。
育児に専念するあまりママ自身の食事もままなりません。
そのような生活が数ヶ月も続くと当然、ママはストレスを感じてしまいます。
この産後の慣れない育児によるストレスが、抜け毛の原因とも言われています。
ストレスを感じると人間の血流を無意識にコントロールしている自律神経が緊張します。
この緊張により血管が収縮して血流が悪化。
血行不良になると毛根の細胞に十分な栄養が送られなくなり、毛髪の成長不良や抜け毛などの要因となってしまいます。
「ストレス発散」という言葉は簡単ですが、具体的には次のことを実行すると解消されるでしょう。
- 赤ちゃんのお昼寝時にママは家事を放棄して一緒に寝る
- パパに子供を任せてママ一人で10分ほど散歩する
- 産後ケアセンターなどに預けてとにかく休む
この他にも「友人や家族とたくさん話す」「本や漫画を読む」など自分が楽しめることや好きなことでストレス解消する方法があります。
先輩ママたちの実際のストレス解消方法は「爆発寸前のママ達が限界を乗り切った方法16」でご紹介されています。
※参考情報:東京・丸の内の東京国際クリニック「薄毛の原因」
あとがき
産後の抜け毛は生理的な現象のため確実な対策はあまりなく、よく言われる「あまり気にしすぎないこと」が良いとされてます。
ただ「髪は女の命」という言葉があるくらい、気になる方は多いでしょう。
その時に当サイトの情報が参考になれば幸いです。
また今回は記事中で紹介した以外にも下記情報を参考にしました。
- 32歳女医、そろそろ子どもがほしい頃「産後の抜け毛はいつまで続く?!」
- スキンケア大学「出産後の抜け毛の原因と改善方法」
- 女性のための育毛講座「女性の薄毛・抜け毛の基礎知識:なぜ脱毛は起こる?」
興味のある方はどうぞご覧ください。