産後、熱を感じたらすぐに医者へ!産褥熱の疑い?

産後すぐに熱を感じると危険信号と考え、かかりつけのお医者さんに急いで診てもらうのが最善の策でしょう。

なぜそこまで言えるのか?産後の発熱は問題か?などについて、ここでは次の流れで解説していきます。

  1. 産後、発熱が続いた時の病気とは?
  2. 産褥熱の症状:あるママさんの体験談
  3. 産褥熱の原因と現状
  4. 産後、熱を感じたら迷わず相談すること

初めてのママでも分かりやすいように、専門用語はすべて補足をつけています。

安心して読み進めましょう。

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1949年に発足し、当初は国の管轄下にもあった権威ある日本産科婦人科学会。

この学会が刊行する雑誌に産後の発熱について次のように記載されています。

産褥(さんじょく)熱は分娩終了24時間以降、産褥10日以内に2日以上、38℃以上の発熱が続く場合と定義されている。

臨床的には子宮を中心とした骨盤内感染症とほぼ同義語として使用される。

日産婦誌「60巻6号」より

つまり出産後、24時間以降〜10日間のうち、38℃以上の発熱を2日以上起こすと「産褥(さんじょく)熱」という病名に該当しますよ、というお話です。

ちなみに「産褥」とは「出産したママの体が妊娠前の状態に戻るまでの期間のこと」を指します。

この期間を“産褥期”とも呼び、一般的に6〜8週間かかると言われています。

では、産褥熱は体にどのような影響をもたらすのでしょうか?

産後、熱を感じるママ

はてなブログのブロガーである twogirls さんは産後、38℃以上の発熱を体験したママです。

彼女の文章から当時の大変な状況が伝わってきます。

退院の準備して帰ろうとする時も、荷物が持てない。

<中略>

それでもなんとか車へ。家に着くころには寒気が出て、ガッタガタのガッチガチに震えてました。
それからは ぐんぐん熱が上がる。一気に38度。

これはダメだ。。と、一旦寝かせてもらう。
ミルクで乗り切ってくれと一旦旦那に赤ちゃんを託しました。

寝ても熱は下がらず、そのまま夜を迎えました。

赤ちゃんをお風呂に入れることすらできません。
夜もまたひたすら寝ましたが、熱が下がってる感じは無し。

まじめなブログ「産後の肥立ちが悪すぎるっていうやつ。」より

翌日の午後、お世話になった産婦人科で見てもらった結果、子宮内膜が細菌感染して炎症を起こしていたようです(つまり産褥熱)。

当日の夕方に病院に電話をしたところ、twogirls さんは次のことを聞かれたようです。

  • 悪露(おろ)の量は問題ないか?
  • 悪露の臭いはキツくなっていないか?
  • お腹は痛くないか?
  • 喉の痛みや咳などの風邪の症状はないか?
  • 体温はどれくらいか?

「悪露(おろ)」は出産後に子宮から排出される生理のようなもので、妊娠中に赤ちゃんを守ってくれた様々なものの分泌物のこと。

この時、悪露の臭いの変化に気づくのが少し遅れてしまったことで、病気の特定が遅れる事態となったようです。

産後、1週間は入院しますので、入院中に産褥熱にかかると少し安心です。

ただ、twogirls さんのように退院後に発熱すると、すごく不安になりますよね。

ところでこの産褥熱の原因は何なのでしょうか?

次では産褥熱の原因について解説します。

赤ちゃんを寝かせるママ

 

産褥熱の原因は、細菌の感染です。

感染する状況が想定されるケースは主に次の通りです。

  • 出産時の何度も行われる内診・子宮操作
  • タンポンやガーゼなどの挿入
  • 陣痛が始まる前に起こる破水(はすい)

など。

また出産後は、ママの大出血による体力・免疫力の低下、悪露(おろ)排泄の遅れなどがあります。

この時、何らかのタイミングで感染したことが考えられるのですが、あらゆる感染経路が想定されるため、感染源を特定するのが難しいのも特徴です。

「かつて産褥熱は、妊婦さんが死亡する最も重要な原因でした。」と解説するのは、家庭のための医学サイト「Yahoo! ヘルスケア」です(参考記事については後述)

その理由の1つとして、出産場所が不衛生な環境だったこと。

今では消毒が行き届いた病院で出産するのが当たり前かもしれませんが、一昔前までは自宅でのお産は珍しいことではなかったようです。

また、化学療法の進歩、消毒法の発達によって産褥熱による死亡率は極めて低くなってきているようです。

年次統計「妊産婦死亡率」
画像引用元:年次統計「妊産婦死亡率

上図は、国立社会保障・人口問題研究所が調査した妊産婦死亡率の年次推移です。

ここでの死亡率とは、出産10万件あたりに対する死亡者数を意味しています。

参考:Yahoo! ヘルスケア「産褥感染症

とは言ってもいくら衛生環境が良くなり、医療が発達したとはいえ、現在も産褥熱にかかってしまうママは少なくありません。

産後、入院中に少しでも発熱を感じたらすぐに助産師さん、看護師さんに相談しましょう。

専門家が適切な処置をとってくれます。

もし退院後、自宅に帰ってから発熱があった場合、すぐにお世話になった産院に連絡して診てもらいましょう。

一番良くないのが、自分の勝手な判断で済まそうとすること。

産後、10日以内はママの体はまだまだ回復途中の状態です。

「赤ちゃんのため」と無理に頑張ってしまうと、後で取り返しのつかない状態になる可能性も考えられます。

とにかく、すぐに病院で受診してもらいましょう。

まとめ

産後10日以内に38℃以上の高熱が出た場合は非常に注意です。

特に自宅で発熱した場合、先ほど紹介した下記のチェック項目を確認しましょう。

  • 悪露(おろ)の量は問題ないか?
  • 悪露の臭いはキツくなっていないか?
  • お腹は痛くないか?
  • 喉の痛みや咳などの風邪の症状はないか?
  • 体温はどれくらいか?

そして病院の先生や助産師さんにすぐに答えられるようにしておくと、病院側もスムーズに対処が進められるはずです。