産後、貧血気味で不安に感じるママの予防対策

出産後、めまいがしたり、疲れやすくなったりと貧血気味で不安に感じるママはけっこういます。

ここでは、貧血の原因とその予防策、また急に貧血になった時の応急処置について解説しています。

専門用語には必ず説明をいれているので、初めてのママが読んでも分かりやすい内容になっています。

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貧血の原因

東京にある複数の都立病院をまとめる東京都病院経営本部では、「血液の働きで最も重要な仕事は、酸素を全身に運搬することです。」と説明しています。

ここで酸素を運ぶ役割をするのが、血液中の赤血球(ヘモグロビン※)です。

簡単に説明しますと、ヘモグロビン量が少なくなることで酸素の運搬量が通常より少なくなり、貧血を引き起こしてしまうのです。

そもそも人間は、体内にある酸素と栄養素をエネルギー源として生きることが出来ます。この重要度の高い酸素の運搬がうまくいかないと、体のいろんな箇所の組織が酸素不足となり、貧血の症状を引き起こします。

貧血の代表的な症状として次の体の不調が挙げられます。

  • めまいがする
  • 疲れやすくなる
  • 立ちくらみを起こす
  • 顔色が白くなる
  • 動悸(どうき・心臓が普段よりバクバクする)
  • 息が切れやすい
  • 頭痛がある
  • 耳鳴りがする
  • いつもより寒さを感じる

特に出産時、ママは赤ちゃんを産むと同時に大量の血液が失われ、出産後は日々の授乳で血液が不足しがちになります(母乳は血液から作られています)。ママが貧血気味になるのは当然のこととも言えるわけです。

ここまでで、貧血の原因は「ヘモグロビン量が少なくなること」と分かりました。それでは、このヘモグロビン量を維持するにはどうしたらよいのでしょうか?

次に貧血からママを守る対処法について解説していきます。

補足:赤血球とヘモグロビンは同じ?
赤血球とヘモグロビンは同じではありません。厳密には血液中の赤血球(せっけっきゅう・血液の成分の1つ)にある血色素(けっしきそ・赤血球に含まれる成分のこと)がヘモグロビンとなります。ここでは理解しやすくするため、便宜上、同じものとして扱いました。

ママを貧血から守る予防策

最初に結論を申しますと、“鉄分”や“血を作るのに必要な成分”を多く含む食品を食事に取り入れることです。ヘモグロビンの主な材料は鉄分です。多くの貧血の原因はこの鉄分が不足することで起きています。

愛知県名古屋市で統合医療クリニックを営む伊藤 加奈子 先生が監修した記事に、貧血の食事予防対策として次の食材をお勧めしています。

  • 鉄分を多く含む食品
    レバー・あさり・しじみ・ひじき・ほうれん草・大豆など
  • 銅を多く含む食品
    かき(貝)・納豆・枝豆・さつまいも・豆腐など
  • ビタミンCを多く含む食品
    野菜・いも類・果物など
  • 葉酸を多く含む食品
    緑黄色野菜・果物など

ヘルスケア大学「母乳が出ない原因(1)貧血」より

鉄分を摂取することは大事ですが、鉄分だけを大量に摂ってもヘモグロビンは作られません。

そこで重要な働きをするのが“銅”です。銅はヘモグロビンを作るため、鉄分を適所に運んでくれる役割を担います。

またビタミンCを摂取することで、鉄分の吸収を高める働きがあります。鉄分を多く含む食品と一緒に食べると効果的でしょう。

葉酸は赤血球を産出するために必要な重要な栄養素です。適切に摂取することで貧血の予防にもなります。

ただし、葉酸は一度に大量に摂取しても水に溶けやすい性質をもち、使用されなかった分は尿などで排泄されてしまいます。そして体内に残らないため、毎日摂取しなくてはなりません。

また、葉酸は熱に弱いため、食材として過熱すると失われやすいという性質があります。なるべく生で摂取するか、電子レンジ調理・煮込みスープ・煮込み料理で使用するのがお勧めです。

「ちょっと手間だな・・」という方は、サプリメントを活用するのも手段の1つです。

貧血時の応急処置

もし急に貧血になったらどう対処したら良いのでしょうか?

東京・目黒区に自信の医院を持つ安田 洋 先生が監修した記事によると、急に貧血になったら次の手順で対処することをアドバイスしています。

  1. 横になれるスペースに寝かせる
  2. シャツのボタンやベルトなど、身体を締めつけているものはゆるめてあげる
  3. 毛布や上着などをかけて、身体を温めてあげる

ナースが教える仕事術「貧血のつらさの原因は酸欠だった!貧血症状に対処する応急処置まとめ」より

もし横になるスペースがない場合、椅子に座らせます。とにかく安静にして、ベルトやボタンをゆるめ、血液の流を良くしてあげることが重要だと言います。

ママが知っておくべき貧血のリスク

SOLANIN さんは、20年以上、実に6000組以上の母子をサポートし続ける現役助産師です。自身も3人の子供を持つママさんでもあります。

彼女は生まれる赤ちゃんの貧血の可能性について次のように語っています。

余談ですが、健常新生児の場合、妊娠中にお母さんが貧血になっても速やかに改善すれば、生まれた時に身体の中に予め備えた貯蔵鉄があるから、滅多に貧血にはならないでしょう。

しかし早産児・低出生体重児・お母さんが妊娠糖尿病・お母さんが妊娠高血圧症候群であると、生まれた時に身体の中に予め備えた貯蔵鉄が元々乏しいので、月齢が進むにつれ、赤ちゃんが貧血になるリスクが高まります。

最強母乳外来「お母さんが産後貧血になったら鉄分を摂取する重要性とは?」より

つまり、体の中には鉄分を蓄える「貯蔵鉄」という鉄分の保管場所があり、何の問題なく赤ちゃんを産んだママは、その貯蔵鉄の量がある程度蓄えられた状態なので、赤ちゃんが貧血を起こすことはない、というものです。

逆に赤ちゃんやママが何かしらの問題を抱えていると、その貯蔵鉄の量が十分ではなくなり、結果的にお腹の中の赤ちゃんが貧血になるリスクが高くなると言うのです。

SOLANIN さんによりますと産後、ママの貧血を改善することができれば、母乳に含まれる鉄分もそれに比例して増える。つまり、母乳を通しての赤ちゃんへの鉄分の供給は可能だと言います。

まとめ

ちなみに鉄分を摂取するのにレバーが苦手なので、プルーンで代用したママさんもいます。無理せず出来る範囲で摂取するのがコツです。

また冒頭で紹介した東京都病院経営本部によると、結局のところ「食事は1日3食規則正しく食べ、偏食・減食・欠食はなおしましょう」と食事療法のポイントについて述べています。

また食事中、食後にはコーヒー・紅茶・緑茶は控えた方が良いようです。それら飲料水に含まれるタンニンという成分が、鉄の吸収を妨げるのが理由です。