「会陰切開」という言葉だけ聞くと、ママの体の一部を切るんでしょ?と不安が襲ってきますね。
ここではそんな不安を解消し、正しい知識を身につけていただくため、会陰切開に関する5つの基礎知識について解説していきます。
助産師さんやママの体験談のもと、信頼度の高い情報が提供できるよう心がけています。
会陰切開(えいんせっかい)とは?
会陰切開とはお産の際、ママの会陰(膣と肛門の間にある部分 [下図参照])を切って(切開して)、赤ちゃんの出口を広げる処置方法です。
複数の大手企業が協賛して運営する出産育児サイト『プレママタウン』では、「出産時に会陰切開を行ったか?」というアンケートを行いました。
その結果、有効回答数 2,124 名のうちの実に 68.8% (※)のママが体験しています。
※ プレママタウン「会陰切開(えいんせっかい)」より
画像引用元:プレママタウン同ページより
会陰切開をする理由
会陰切開を医師が選択する主な理由として、次の2つがあります。
- 会陰が伸びるのを待つ間に赤ちゃんの心拍数が下がった
- 伸びる前に会陰が裂けそうになった
赤ちゃんを産むママの神秘的な不思議現象ですが、お産時にママの体はどんどん産む体勢を整えていきます。会陰もその一部で、赤ちゃんがちゃんと通り抜け出来るように伸びようとします。
でも会陰が伸びるのに時間がかかり、赤ちゃんが弱ってしまう。会陰が伸びる前に裂けてしまい、ママがケガをおう。
このような事態を未然に防ぎ、赤ちゃんを無事に出産するサポートをするための対処法であることを理解しておきましょう。
会陰切開は本当に必要か?
ほとんどのママが会陰切開をすることがわかったのですが、本当に行う必要はあるのでしょうか。
実は医師による切開でも、自然に裂けるでも、どちらのケースでも自然と会陰は回復します。
助産師として日本とイギリスで勤務した経験を持つ ヒル・まゆ子 さんは次のように指摘しています。
数々のリサーチによって、裂傷と切開の傷では、治り方にほとんど差がないことが分かっています。
つまり、切っても裂けても、きちんと縫えばきちんと治るということなのです。
パピマミ「知っておきたい出産時の会陰切開の知識4つ」より
ただし、「日本の病院では多くの医師が切開を好む」傾向にある、というのです。主な理由は「切開した部分を縫合しやすい」からです。
もし会陰が裂けてしまったら傷口が複雑となり、縫うのにけっこうな時間がかかります。でも、切開であれば傷は1カ所になるため、そこだけ縫えば完了します。
大きなメリットは、縫合する時間短縮により、ママはちょっとでも早く体を休めることが出来ます。
切開時、麻酔は使うの?痛みは?
一般的に会陰切開は麻酔をして行うため、痛みは全然感じないでしょう。
会陰切開を2度経験したママライターさんは、ご自身の体験から次のように語っています。
切る時はパチンと切られる感覚があり、普通の状態ならば絶対に耐えられない痛みですが、分娩中は陣痛の痛みやいきむことに夢中で平気なのです。
<中略>
痛みはほとんど感じないので、怖がる心配はありません。
MARCH(マーチ)「出産間近、会陰切開が怖い!人に聞けない切開時の痛みや後遺症とは」より
中には最初、切開を拒んでいたのに陣痛の痛みに耐えかねて「切開して欲しい」と願い出る人もいるようです。
赤ちゃんがいよいよ出てくる状態では、会陰切開に対する不安や怖さは吹き飛びます。
どれくらいで回復する?
個人差はありますが、会陰切開の回復までに5日程かかります。その頃には痛みもほとんどなくなります。
ただし、これは何も問題なく回復した例で、中にはベッドで寝返りもうてないくらい痛みがひどく、なかなか寝ることが出来ない方もいます。このような場合、痛みが完全に治まるまで1ヶ月かかることもあります。
もし傷があまりにも痛む場合は、無理せずに安静にして、トイレに行く時は遠慮なく助産師さんに助けてもらいましょう。
また、リクルートが手がける『赤すぐnet みんなの体験記』に投稿した1児のママ、さーやさんは、自らの体験で次のことを注意するように指摘しています。
(助産師さんから)トイレの際はウォシュレットで洗って陰部を清潔にしてね、と説明を受けた後の初めてのトイレ。
言われたままウォシュレットのスイッチを押した瞬間、恐怖がやって来ました。赤すぐnet「麻酔なしでの会陰切開。注意は産後のウォッシュレットの水圧」より
実はウォシュレットの水圧が最大になっていました。
ただでさえ傷口に水がかかると痛いのに、さーやさんは勢いのある水を直接浴びてしまい、あまりの痛さに体が軽くジャンプした程だったようです。
みなさんも産後のウォシュレットの水圧にはくれぐれも気をつけてください。
最後に
会陰切開はどうしても「切る」というイメージだけが先行して不安になります。
でも最初は怖いと思っていた物が、正しく理解することで少しは不安が軽減されたのではないでしょうか。
また、先ほど紹介した助産師のヒル・まゆ子 さんが、会陰切開の確率を下げる方法を「出産で会陰が裂ける確率を下げる方法2つ」で解説しています。ぜひ、一読してください。
もうすぐ出産。赤ちゃんもママに会えるのを心待ちにしていますよ。