出産後の尿漏れは珍しいことではないので「自分だけなの…?」と悩む必要はありません。
むしろ出産で頑張った筋肉が疲労したサインとも考えられます。
ここでは産後の尿漏れの原因とその防止対策を次の流れで解説していきます。
文中に専門用語も出てきますが、すべて分かりやすく説明することに注力しました。安心して読み進めましょう。
1.産後、尿漏れに悩まされたママの声
大手企業のリクルートが手がける育児サイト『赤すぐnet』で記事を執筆する1児のママ、秋風さん。
彼女は産後、尿漏れという悩みを抱えていました。
産後はやっと我が子に会えた嬉しさからテンションは上昇気流でしたが、あまり自由に体を動かすことができず、歩くこともままならない状態だったようです。
尿意と便意を感じました。
即看護師さんにお願いしてトイレに連れて行ってもらいましたが、パンツを下げている最中に尿がでてしまいました。
そして、便も出ていたのですが、便座を見るまで気がつかず悲惨なことに。
<中略>
テンションは一気にだだ下がりになり、赤ちゃんのことを考えていても、下の方への不安が大きくなるばかりでした。
赤すぐnet みんなの体験記「目指せ、おならで笑い合える夫婦関係!?産後の尿漏れとお尻のゆるみ」より
結果的に下半身の筋力を鍛える体操を毎日行って克服したというお話です(体操については後述します)。
秋風さんは産後すぐに尿漏れに気づきましたが、2日経っても症状は変わらなかったようです。
入院中の育児講習中にもかまわず尿や便を漏らしたため、さすがに看護師さんに悩みを打ち明けました。
お医者さんにも相談したところ「(下半身の)筋力を鍛える体操を頑張ってください」とご指導をいただきました。
それから彼女はインターネットで調べ、下半身の筋肉を鍛える体操を毎日行った結果、退院時には少しだけ回復したようです。
2.産後の尿漏れの原因
そもそも、産後の尿漏れはなぜ起こりやすいのでしょうか?
ムーニーやマミーポコなどのおむつで知られる大手企業ユニ・チャームの公式サイトでは、産後の尿漏れについて次のように結論付けています。
産後の尿もれは、分娩時に骨盤底(こつばんてい)に負担がかかることが大きな要因です。
骨盤底とは、腰から下の骨盤の底にあり、子宮や膀胱、直腸・肛門などの臓器を支えている部分です。
また筋肉と繊維組織でできていることから、骨盤底筋(こつばんていきん)と呼ばれています。【下記、図を参照】
画像引用元:センター南ファミリア鍼灸整骨院さん「体幹トレーニング詳細 骨盤底筋!?」
産後、出産による負担により骨盤底がゆるみます。すると尿道の締まりが悪くなり、尿漏れにつながってしまいます。
また、出産時に神経組織が傷を受けると、尿漏れ以外に「尿意を感じない」「オシッコが出ない」等のトラブルが起こるケースもあるようです。
でも、たいていは骨盤底が自然に回復していくと、そのような症状も次第に治まります。
もし尿漏れが気になる場合、今は尿漏れ用の吸水ケア商品があるので、こちらを活用するなど対処することで普段通りに快適に過ごすことはできます。
3.産後、オシッコを正常に出すリハビリ方法
医師の中田 真木先生(三井記念病院・産婦人科医長)によりますと、産後の骨盤底の回復のため「膀胱(ぼうこう)が一杯にふくらむまでオシッコをためることを心がける」ことが重要だと指摘しています。
「尿意がないのに早めにトイレに行く」のは厳禁です。
というのは、妊娠中は「膀胱が収縮しておしっこが出る」というナチュラルな排尿ができず、「腹筋の力で排出する」ことをしがちです。
産後もその悪い癖を残さないようにしなければいけません。
ママによって産後1〜2週間して「オシッコが漏れる」「トイレまで間に合わない」と感じることがあるかもしれません。
しかし、この時にすぐにトイレに行かないで膀胱が一杯になるまでオシッコをためる、というものです。
これは一種のリハビリのようなもので、お産前に自然に出来ていた排尿感覚を取り戻すのに必要な行為です。
尿漏れが心配になってどうしても早めにトイレに行きがちですが、そこはこらえて「少しくらい漏れても良い」ぐらいにドーンと構えること。
先ほどもあげました尿漏れ用の吸水ケア商品などもあるので活用するのも手かもしれません。
4.骨盤底筋を鍛える方法
また、先に紹介した秋風さんのように、骨盤底筋を鍛える運動を続けることで尿漏れを改善する方法もあります。
次の動画は骨格姿勢インストラクターを名乗る 谷 英子(えいこ)さんのご指導による骨盤底筋を鍛える運動です。
参考動画:ベビカム「産後ママにおすすめ!骨盤矯正エクササイズ」
※「骨盤矯正エクササイズ」というタイトルが気になるかと思いますが、骨盤底筋を鍛える内容なので安心してご鑑賞ください。
この動画を参考に骨盤底筋を鍛えることで、尿もれだけでなく、体型の崩れの改善、冷え性などの症状を予防する効果があります。
もちろん出産後のママでも問題なくできる内容なので、まずは試してみてください。
また、この動画の内容を次の通りまとめました。
4−1.椅子に座って鍛え方
- 椅子に座ったら背筋をまっすぐ伸ばして、顔を上げます。
- 足は肩幅に広げ、肩の力を抜きます。お腹には力が入らないように意識しましょう。
- この体勢で膣と肛門を締め、そのままゆっくりと5つカウントします。
- 数え終わったらゆっくりと膣と肛門をゆるめます。
この流れを「10回を1セット」で症状の予防なら1日3セット。より改善したい方は1日5セットを目標にして、毎日続けましょう。
4−2.仰向け(あおむけ)に寝ながら鍛え方
- 仰向けに寝たら、足を肩幅に広げて、膝を立てた状態にします。
- ダランとなるくらい体の力を抜きます。
- この体勢で膣と肛門を締め、そのままゆっくりと5つカウントします。
- そして膣と肛門をゆるめます。
この流れは「10回が1セット」です。椅子に座る鍛え方と同様に、予防なら1日3セット、改善には1日5セット。毎日続けましょう。
以上が、骨盤底筋を鍛える体操となります。
まとめ
産後、尿漏れを経験するママさんは多いです。くしゃみをした拍子で尿を漏らしてしまった、ということもよくあります。
なので不安になることはありません。
気になる方は尿漏れ用の吸水ケア商品を活用したり、骨盤底筋の体操を毎日行うことをお勧めします。
また、下半身に関する何かしらの症状が気になるママは、こちらも参考にしてください。