出産時に必ず知っておくべき3つの呼吸法

一般的に陣痛時間は、初めて出産するママで 12〜16時間。2人目以上のママの場合で 5〜8時間と言われています(日本産科婦人科学会より)。

この半日近くの陣痛と付き合う上で、出産の呼吸法を事前におさえておくことは非常に重要です。

ここでは、陣痛の痛みを乗り切るため、出産の段階に合わせた呼吸法を1つ1つ解説していきます。

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補足1:陣痛(じんつう)について

この記事を読み進めるには、陣痛の理解が必須です。自信のない方は事前に「はじめての出産!陣痛が来た時の対処法など5つのポイント」に目を通しておきましょう。

補足2:参照記事について

当記事の情報は、基本的に次の記事を参考にしています。

・岡山中央病院 ウイミンズメディカルセンター「出産そして赤ちゃん誕生(お産のプロセスと呼吸法、過ごし方)

分娩室(ぶんべんしつ・出産するための医療機器が備わっている部屋)にいる時は、ほぼ助産師さんが側にいてくれて、呼吸法など指導してくれます。

ただ、陣痛室で待機している時は常に専門スタッフが側にいる訳ではありません。そこでここでは、次の3段階のタイミングにだけフォーカスして、産院などで最も活用されているラマーズ法をご紹介します。

  • 準備期:陣痛の間隔を計測し、安定してきたら病院へ連絡
  • 進行期:陣痛室で待機のタイミング
  • 極期(きょくき):やっとで分娩室に移動。最も呼吸法が重要な時間帯。

はじめてのママのために分かりやすく解説しています。どんどん読み進めてください。

1.準備期の呼吸法

痛みと痛みの間の時間が規則正しく、さらに痛みにバラつきがなければ、陣痛の始まりです。病院に連絡して指示を仰ぎます。

この時はできるだけゆっくり深い呼吸を意識しましょう。

・ママの状況:陣痛の間隔 10〜15分、子宮口 0〜3cm、陣痛時間 30〜60秒

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画像引用元:岡山中央病院 ウイミンズメディカルセンター

このイメージの山になっている部分が陣痛の痛みが来た時のタイミングです。

息を「吸う」時は、鼻から静かに吸います。そして、「吐く」時はゆっくりと口から吐きます。

特にはじめて出産するママはわからないことだけで、いろいろと不安になります。でも、ゆっくり深呼吸して過ごしましょう。

もし、ここで出産の呼吸法を始めてしまうと、後々疲れてしまいます。普通に呼吸できる時は、普通にしてかまいません。

呼吸法のポイント:
吸って、2、3、吐いて、2、3、とワルツのリズムをつけると楽です。

2.進行期の呼吸法

お産がいよいよ本格的になってきたと感じるタイミングです。

でも焦らずにリラックスして、気持ちを静めることがとても大事です。あまり緊張してしまうと、体が固くなってその分、出産の時間もかかってしまいます。リラックスすることを必ず覚えておいてください。

・ママの状況:陣痛の間隔 5〜3分、子宮口 4〜8cm、陣痛時間 45〜60秒

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画像引用元:岡山中央病院 ウイミンズメディカルセンター

陣痛が来たら一点を集中して見つめます。そして痛みのピークでは上記イメージの通り フー・フー型 で呼吸をします。

コツは息と気持ちの両方を整えて「フー、フー」とリズムに乗って呼吸をしましょう。

この時、必要以上に大騒ぎしたり、無駄に動いたりするのは控えましょう。これにより、呼吸が早くなって過呼吸に陥り、パニックを引き起こす可能性があります。

何度でも言いますが、焦らずに筋肉をこわばらせないで「リラックスすること」に集中しましょう。

またこの時間帯にオシッコに行きたくなったら我慢せずに行くこと。2~3時間ごとに試してみましょう。

呼吸法のポイント:
陣痛の強さに応じて、呼吸法の速さを変えてみましょう。

3.極期の呼吸法

いよいよ子宮口の全開(=子宮口10cm)まで、あと一歩です。ここでは、いきみ逃(のが)しをします。

「いきむ」とは、大便をする時の感覚と似ていますが、出産に限っては膣や産道にフォーカスするような感じでお腹に力を入れる感覚です。

この時間帯、看護師さんや助産師さんの「OK!」が出ないと いきんではいけません。これを「「いきみ逃し」と呼びます。これは赤ちゃんとママを守るためです。

・ママの状況:陣痛の間隔 1〜2分、子宮口 9〜10cm、陣痛時間 60〜90秒

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画像引用元:岡山中央病院 ウイミンズメディカルセンター

いきみたくなったら、上記のイメージの通り ヒッ・ヒッ・フー型 の呼吸法をします。また陣痛の間は、リラックスのためにもずっと目を開けておくのが重要です。

陣痛のピークが来たら、まずは深呼吸をします。そして息を吸って、最初の「ヒッヒッ」は短く吐きます。次に「フー」は長めに吐いて、同時に力を抜きます。

この時間帯、ママは感情が出やすく不安定になり気味です。途方に暮れたり、キレやすくなったりと一時的に理性を失うかもしれません。

大丈夫です。看護師さんや助産師さんがしっかりサポートしてくれます。また、パパが立ち会う場合、何よりも心強いでしょう。

あと、ママによっては会陰部の毛剃りをすることがあります。もう少し知りたい方は「出産時に気になる3つのこと|排便、会陰切開、剃毛」をお読みください。

呼吸法のポイント:
いきみの強い時、逃がすのが難しくなってきたら、ヒッ!ヒッ!フーウンと短くいきんでみます。
決してフーンーンと長くいきまないようにします。

MINMIの痛くない出産法

MINMI(ミンミ)さんとは、レゲエミュージシャンです。

彼女は出産時、陣痛の痛みに耐えていました。ただこの時、ある方法で痛みが和らぎます。

その方法とは、ひたすら赤ちゃんに話しかけて、心からいっぱい褒めること。この時から1時間程で無事に出産した、というものです。

実際にテレビでも取れ挙げられた動画をご覧ください。

つまり陣痛が始まっても「痛い」なんかより、今頑張って出てこようとしている赤ちゃんに「ママは大丈夫!」「みんな外の世界で待ってるよ!」と応援し、本気で心から話しかけ続けます。

補足:MINMI さんの書籍について
MINMI さんの著書「キセキ 今日ママに会いにいく」は賛否あります。一部の表現が多くの読者の指摘を受けて、中には不快になる方もいらっしゃるようです。本当に興味がある方だけ手にしましょう。

最後に

「陣痛に対する恐怖が痛みを強く大きくしている。痛みの3割が本物の陣痛だとしたら、7割は恐怖から来ているんですよ ※」

と専門医師は指摘しています。陣痛の痛みは、ママの向き合い方や体勢次第でコントロールできる可能性があります。

事前に呼吸法を練習して、出産に備えましょう。よく分からなければ、お世話になる産院の助産師さんに教えてもらってください。

とにかく出産当日は、リラックスすることを強く意識しましょう。

もうすぐ会える赤ちゃんのことだけを考えて、残りの妊娠生活をお過ごしください。

※東京・江戸川区で鈴木クリニックを運営する院長の鈴木先生の言葉です。残念ながら、2016年2月29日に閉院しました。