「今までは特に肌トラブルはなかったのに、妊娠して突然痒みを感じるようになった」という妊婦さんはけっこういます。
大手企業が運営する出産・育児サイト『プレママタウン』では、2000人以上のママさんにアンケートをとった結果、実に50%以上が痒みを経験していました。
ここでは妊娠中の症状・原因、そして対処法について、分かりやすく解説していきます。
特に「体験記:全身が痒くなったときに行った対処法」では、「痒みがピークのときは死にたいとさえ思った」と語る妊婦さんの切実な話を紹介しています。
そんな彼女を救った先輩ママの心強いアドバイス(効果の期待できる痒み対策)も掲載しています。
当記事が痒みで悩むプレママさん、ママさんたちの解決の糸口になれば嬉しいです。
1.妊娠中の実際の痒みの症状
「最強のママ友をもう一人」のキャッチフレーズが心強い口コミサイト『WOMEN’S PARK(ウィメンズパーク)』は、プレママやママ達のリアルな声が満載です。
この口コミの中に、痒みに関する投稿やコメントがありましたので一部ご紹介します。
両足が痒くなった
おおにしちゃん さんは当時、妊娠4ヶ月に入って両足に強い痒みを感じるようになりました。掻きすぎて傷ができるほどです。
医者に相談したらもってる塗り薬は塗っても大丈夫と言われましたが、(効果が)なかなか(ありません)…
おおにしちゃん さん(2016/11/08)
薬を塗ってもその場限りで、後から痒みが襲ってくる感じだったようです。
乳輪が痒くなった
当時、妊娠5ヶ月のまきぴゃん さんは、乳輪が痒いという症状に悩まされました。
あまりにも痒すぎて寝てるときも無意識に掻いてしまい、乳首と乳輪の境に傷をつけてしまったのです。
衣類にくっついては脱ごうとすると剥がれるように痛いので、傷には!と思い絆創膏を貼って、触れるのも防いでいました。
すると今度は絆創膏で乳輪周りはかぶれてしまい、余計に痒くなってしまいました。
まきぴゃん さん(2016/12/25)
同じような症状の先輩ママたちは、とにかく皮膚科の先生に相談して処方してもらった薬で乗り切ったようです。
ただ中にはそれでも効果がなかったのに、産後に嘘のように痒みが引いて、さらに母乳が溢れるように出たというお話もありました。
2人目の妊娠中に痒みが現れた
ま2こ さんは、2人目を妊娠した15週目(当時)の頃に手・足に発疹(小さなブツブツ)が現れました。
この発疹がどんどん体中に広がって、真っ赤に腫れ上がりました。
皮膚科に行ったところ、原因不明でマイザークリーム(薬品名のこと。炎症を抑えるクリーム剤)を処方してもらいましたが、効果がありません。
一日中我慢できないほど痒く、ネットで調べたところ、恐らく妊娠性痒疹かと…
もしそうだったら、今後の生活をどうしたらよいか、不安です。
ま2こ さん(2016/12/03)
同じような症状で原因不明と言われた先輩ママさんは、乾燥が影響していると考え、様々な保湿力が高いクリームを試したら落ち着いたようです。
一方、保湿剤クリームを塗っても逆効果だった先輩ママさんもいます(この方は皮膚科で処方してもらった薬を30週程まで使い続けたようです)。
ここで注意点として、ネットなどを検索して病名を自分で決めつけ、ネット上の知識で対処するのは絶対止めましょう。
必ず皮膚科の先生に診てもらいましょう。
効果を感じなければ他の治療方法を相談するか、他の皮膚科に診てもらう(セカンドオピニオン)。また、意外と産婦人科の先生が解決策を持っているかもしれません。
ちなみに共通して「出産したら治まった」というコメントがいくつか見られました。
2.痒みをともなう妊娠中の症状名・病名
ここでは妊婦さんを悩ませる痒みについて、主に下記2つの症状を解説をします。
- 妊娠性 皮膚掻痒(ひふそうよう)症
- 妊娠性 痒疹(ようしん)
この他にも、痒みをともなった水ぶくれ・赤い斑点が現れる「妊娠性 疱疹(ほうしん)」、妊娠後期に多い強い痒みが現れる「妊娠性 肝内胆汁うっ滞症 」などがあります。
ただ、ここでは先に挙げた2つの症状に絞って説明いたします。
2-1.妊娠性 皮膚掻痒(ひふそうよう)症
妊娠性 皮膚掻痒症とは、妊婦さんの2~3%に起こる症状で、主に乾燥やかゆみをともないます。
※参考記事:ヘルスケア大学「妊娠性皮膚掻痒症とは(医師・小橋 美律 監修)」
症状
妊娠中期〜後期にかけて体全身、または体の特定の部位に強いかゆみが起きます。
特徴は、妊婦さんの皮膚の表面に発疹(腫れ・赤みのある傷)などが特に現れず、状態は良好に見えます。
この痒みは出産してから24時間以内に治まることがほとんどです。
原因
はっきりした原因は分かっていませんが、おそらく女性ホルモンの変化によって引き起こされる症状と考えられています。
妊娠中の女性ホルモンの増加が体に影響を及ぼし、妊婦さんは乾燥しやすい状態になってかゆみが現れるというのです。
次でご紹介する「妊娠性 痒疹(ようしん)」とよく混同されますが、こちらは皮膚に湿疹が現れます。
ケア方法
肌の乾燥対策をしっかり行う事を心がけましょう。
また、特に冬の寒い季節は部屋の加湿対策を行い、保湿ケアをしっかり行いましょう。
2-2.妊娠性 痒疹(ようしん)
妊娠性 痒疹は、「100人におよそ1人の割合でみられる」と言われる皮膚疾患です。
※参考記事:ヘルスケア大学「妊娠中の皮膚症状「妊娠性痒疹」とは?(めぐろ皮膚科クリニック院長 深野 祐子 監修)」
症状
疾患した多くの方に見られる症状は、最初は部分的に小さな発疹が現れて、徐々に体全体に広がっていきます。
特徴は、発疹だけではなく、強い痒みをともなうこと。
発疹がストレスや不眠をもたらしたり、痒みによって不眠気味となるケース。また寝ているうちに無意識に掻きむしって出血することもあるようです。
発疹と痒みは出産後、数日のうちに治まります。
原因
こちらも明確な原因は分かっていません。
傾向としては、妊娠2回目以降の妊婦さんにできやすく、妊娠3〜4ヶ月頃から小さなブツブツ(発疹)が現れて、出産後に治まります。
この病気による胎児への影響は、ないと考えられています。
ケア方法
対処法について、深野 祐子先生(めぐろ皮膚科クリニック院長)の 監修記事では、次のように解説しています。
基本的にはステロイドの外用薬(塗り薬)で治療し、症状が酷い場合には、抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服も併用されます。
引用元:ヘルスケア大学「妊娠中の皮膚症状「妊娠性痒疹」とは?」
とにかく赤ちゃんへの影響が少ない薬が処方されます。
そのため妊婦さんによっては「全然効果がない」ということもあるようです。
とにかく掻かないことが大事で、対策としては氷タオルや氷枕などで冷やすと少し治まることもあるようです。
ただ不眠気味になったり生活に支障を来すようであれば、産婦人科医の担当の先生に相談しましょう。
3.体験記:全身が痒くなったときに行った対処法
当時、妊娠7ヶ月の妊婦さんが全身のあまりの痒さに、Q&Aサイト『教えてgoo!』に投稿しました。
この妊婦さんは子供の頃にアトピー性皮膚炎を患い、敏感肌であることは認識していたようです。
妊娠中、産婦人科と皮膚科の医師に処方してもらった薬を服用し、塗っても痒みが引くことはなかったといいます。
あまりの痒さに生活にも支障をきたす程だった彼女の症状をご紹介します。
3-1.質問者さんの症状
彼女の場合、妊娠4ヶ月頃から痒みを感じて「お腹→胸→手・足→背中→お尻」の順に広がっていきました。
1ヶ月経っても痒みが治まらず、我慢できない状態になって産婦人科に相談したところ、飲み薬(ポララミン)を処方してもらい、また保湿クリームを塗るようにアドバイスをもらいました。
そして医師の指示に従ったのですが、1ヶ月経っても痒みは治まる気配を見せず。
結果、お腹の掻きすぎが原因となり、切迫早産で1週間の入院を余儀なくされます。そして、退院してすぐに皮膚科の医師に診てもらいました。
しかし、お腹の赤ちゃんに影響のないように産婦人科で処方されたものと引き続き同じものでケアするように言われました(この時、飲み薬は同じポララミン。塗り薬は強めのマイアロン軟膏+スレンダム軟膏)。
この薬を1週間続けても痒みが引くことはなく、痒みのせいで毎日ほとんど眠れない状態。
痒みがピークのときは死にたいとさえ思ってしまいます。
本当にどうしようもないので、助けてください!!
お願いします!!引用元:教えてgoo!妊娠・出産・子育て「妊娠中。全身が痒くてノイローゼになりそう」
こちらは、Q&Aサイトに投稿したときの彼女の文末の言葉です。本当に辛い状況が伝わってきます。
そして、彼女と同じような症状に悩まされた方から、希望の光とも言えるアドバイスをいただきます。
3-2.痒いときの効果的な方法は“氷タオル”
ベストアンサーに選ばれた回答者の purimero さんは、元々アトピー体質で妊娠を機に悪化したようです。
質問者の妊婦さんと同じようにステロイド剤を塗っていましたが、効果はあまり感じなかったとのこと。
そして purimero さんが痒みを少しでも抑えるため、徹底したことが次の4つです。
- 痒くなったら、氷を入れた袋をタオルで包んで、軽くあてる。
- お風呂はぬるめのシャワーをさっとあびる。
- 夜はなるべく掛けすぎないで寝る
- 爪は毎日切る&とぐ
引用元:教えてgoo!妊娠・出産・子育て 回答者: sakopon1980
中でも氷タオルはけっこう効果があったようです。
ここでポイントは必ず氷を袋に入れて、その上からタオルやガーゼで巻くこと。
こうすることでタオルが濡れるのを防ぎます(タオルが濡れるとよけい痒くなるため)。
あと足が痒くなった場合、暑い季節なら氷水に直接、足を入れるのも効果があったようです(手も同様に)。
また、全身が痒くなったらすぐに ぬるめのシャワーを浴びることも心がけていたようです。この時、浴室にはつかりません。
ここまでは具体的な対策でしたが、この他に同様の症状に悩まされた先輩ママのエールを見つけたので下記に掲載します。
ただ、私の場合本当につらかったのは2週間ぐらいで、出産直前にはもう激しい痒みはおさまっていたので、この状態が出産まで続くとも限りません。
本当につらいですよね。でも頑張って下さい、きっとお腹の中でお子さんも頑張っています。
引用元:教えてgoo!妊娠・出産・子育て 回答者: strawberries
回答になったかどうかはわかりませんが、痒いのはあと少しの辛抱です。
いまのつらさと引き換えにかわいい赤ちゃんがやって来てくれますので、頑張ってください。
引用元:教えてgoo!妊娠・出産・子育て 回答者: purimero