「抜糸はどれだけ痛いのかな・・」「自然出産じゃないので、母乳はちゃんと出るのかな?」など、帝王切開をした後のママは何かと気になることが出てくるかと思います。
ここでは帝王切開後の基礎知識、そして産後ママが知っておくべき5つのポイントについて分かりやすく解説しています。
専門用語には全て補足を入れているので、初めてのママも安心して読んでください。
目次:
- 1.帝王切開、産後の基礎知識
- 2.帝王切開で産後ママが知っておくべき5つのこと
- 2−1.麻酔は手術後、2時間程で切れる
- 2−2.帝王切開分娩でも悪露や後陣痛はある
- 2−3.2人目のお産も帝王切開分娩の可能性が高い
- 2−4.次の子作りするなら最低でも半年の期間は空ける
- 2−5.帝王切開分娩では3人目まで出産は大丈夫
1.帝王切開、産後の基礎知識
東京の港区にある愛育病院の院長である岡井 崇先生が監修する「帝王切開Q&A」では、帝王切開の産後についてポイントを次のように述べています。
- お腹の抜糸、強い痛みはほとんどない
- 母乳はあげられる
- 帝王切開のお腹の傷跡は1年程で目立たなくなる
- 帝王切開後のセックスは産後の1ヵ月〜2ヵ月位が良い
- 年齢が高くなると回復が遅くなるとは言えない
- 母親としての自覚は出てくる
※帝王切開ナビ「帝王切開Q&A」より
それでは1つずつ見ていきましょう。
1-1.お腹の抜糸、強い痛みはほとんどない
お腹の抜糸についてママの体験談を見てみましょう。
Yahoo!知恵袋の「帝王切開後の抜糸について」でベストアンサーに選ばれた kazetorin_3971 さんの回答は次の通りです。
抜糸は抜くのは痛くないですが、糸を切る時に傷が少し引っ張られて痛かったです。1番辛いのは、抜糸の糸を切る時です。
それ以外は注射より痛くないしビビり損でした(笑)
Yahoo!知恵袋「帝王切開後の抜糸について 明日帝王切開の抜糸が・・・」より
ちなみに医療用ホッチキスの「抜管(ばっかん・針を抜くこと)」はそこまで痛みはなかったと語っています。
1-2.母乳はあげられる
また帝王切開後の母乳はあげられます。
これは出産によって胎盤が落とされるとママのホルモンバランスが変化して、母乳が出るようになるからです。
ちなみに「ホルモン」とは簡単に言うと体内にある特定の細胞・臓器の働きをコントロールする化学物質のことです。
1-3.帝王切開のお腹の傷跡は1年程で目立たなくなる
続いて帝王切開のお腹の傷跡は、3ヶ月程度で赤みが取れます。
1年経てば目立たなくなりますが、まれにママの体質によって傷跡が残ることがあります。
1-4.帝王切開後のセックスは産後の1ヵ月〜2ヵ月位が良い
帝王切開後のセックスは産後の1ヵ月〜2ヵ月位をお勧めします。
帝王切開したママの子宮に大きな傷があります。
この状態で無理に夫婦生活を営むと出血を誘発したり、感染症になるリスクがあるようです。
1-5.年齢が高くなると回復が遅くなるとは言えない
年齢が高くなると、回復が遅れるとは言いきれません。
ただし、20代のママさんと比較すると多少体力差の関係で遅れるかもしれません。
1-6.母親としての自覚は出てくる
最後に母親としての自覚ですが問題なく芽生えます。
これは産後に胎盤をとることで、ホルモンバランスが変化します。
するとママは自然と母性が生まれてきます。母親としての自覚=母性と考えると分かりやすいですね。
ママが得に気になるポイントはこの基礎知識で補えます。
次では、帝王切開の「産後」の知っておくべき点について解説しましょう。
2.帝王切開で産後ママが知っておくべき5つのこと
「帝王切開分娩(ぶんべん)」とは、ママの腹部と子宮を手術で切開して、赤ちゃんを体外に産み出す(=分娩)ことを意味します。
東京大学医学部の産科婦人科学教室で主任教授を務める藤井 知行(ともゆき)先生が情報を提供する「帝王切開分娩の気になることQ&A」によりますと、主に次のポイントを挙げています(2016年1月当時)。
- 麻酔は手術後、2時間程で切れる
- 次の子作りするなら最低でも半年の期間は空ける
- 帝王切開分娩でも悪露(おろ)や後陣痛(こうじんつう)はある
- 2人目以降のお産も帝王切開分娩の可能性が高い
- 帝王切開分娩では3人目まで出産は大丈夫
このことについて、それぞれ詳しく解説していきましょう。
2−1.麻酔は手術後、2時間程で切れる
帝王切開で一般的な腰椎(ようつい)麻酔の場合、手術後は2時間ほどで麻酔が切れます。
腰椎麻酔とは、下半身麻酔のことです。
腰から注射して脊椎(せきつい・背骨を構成する骨の1つ1つを指す言葉)を包んでいる袋の中に麻酔薬を入れます。
すると、ママの胸の下辺りから足までしびれて痛みは感じませんが意識はあります。
腰椎麻酔は即効性があり、麻酔の持続時間が短めなのが特徴です。
2−2.帝王切開分娩でも悪露(おろ)や後陣痛(こうじんつう)はある
帝王切開分娩でも自然分娩と同じように産後独特の出血(=悪露)やお腹の痛み(=後陣痛)はあります。
「悪露」とは出産後、生理のように子宮から排出される妊娠中に赤ちゃんを守ってくれた様々なものの分泌物です。
正常に子宮が回復していくと、この悪露は色味が薄くなり出血量も減っていきます。
1ヶ月ほど経つと治まるので、子宮回復のバロメーターとして利用されます。
また「後陣痛」とは、まるで陣痛のような下腹部の痛みを感じることを言います。
出産後、赤ちゃん一人分が入っていた子宮は急激に収縮して、妊娠前の大きさに戻ろうと働きます。
この時に痛みが来ます。
2−3.2人目のお産も帝王切開分娩の可能性が高い
帝王切開で出産したママさんは2人目の出産も帝王切開をする可能性が高くなります。
そもそも帝王切開で出産した理由は、ママ側か赤ちゃん側にあります。
ママの場合は、骨盤が少し狭い、産道が硬いなどの理由が考えられるため、次回も帝王切開の確率が高いです。
一方、原因が赤ちゃん側の場合、逆子※1(さかご)や前置胎盤※2(ぜんちたいばん)などの理由のため、次回はその状況でなければ帝王切開する必要はありません。
ただ、赤ちゃんの無事を考えて、前回帝王切開分娩だった場合、次も帝王切開をする産院が増えているようです。
※1.通常、赤ちゃんは頭から生まれるが、体勢が逆さとなって足からの状態になること
※2.ママと赤ちゃんを結ぶ胎盤が子宮口をふさいでしまい、通常の出産ができない状態のこと
▲画像引用元:産婦人科の基礎知識「前置胎盤」
2−4.次の子作りするなら最低でも半年の期間は空ける
帝王切開をしたママさんが次の子作りを望んだ場合、最低でも半年間(6ヶ月)は空けておきましょう。
これは、帝王切開でママの子宮を切っているため、切った部分の組織が弱くなっていることが考えられます。
このような子宮が十分に回復していない状態で次の妊娠をすると、最悪の場合、出産時に子宮が破裂してしまう危険性もあります。
リスクを最小限におさえるためにも、帝王切開後の妊娠は半年間は空けましょう。
2−5.帝王切開分娩では3人目まで出産は大丈夫
帝王切開分娩で何人まで出産できるか?
これについて、東京大学医学部の主任教授、藤井先生は「個人差もありますが、3回までは大丈夫です。」と回答しています。
それ以上の帝王切開分娩になると、子宮の負担が大きく、また内臓の癒着(ゆちゃく)が心配されるようです。
「癒着」とは術後、お腹を閉じた後で本来ならくっついてはいけない組織同士がくっついてしまうこと。
症状としては、腹痛を引きおこしたり、便の調子が悪いなどが挙げられます。
最悪な場合、おしっこの障害や不妊症になることも。
もちろん、癒着が起こらないように病院では癒着防止材を使用したり、様々な工夫を凝らして気をつけています。
と言いながらも、4人目まで全員、帝王切開で出産した強者ママさんもいます。
私は現在29歳で、7歳、4歳、2歳、そして先週、第4子目を帝王切開で出産しました!
もちろん上の子達も全員帝王切開です。
帝王切開ナビ「帝王切開で4人出産しました!」より
こればかりはお世話になった産院の先生にご相談してみて、家族とも話し合ってから決めましょう。
ちなみになぜ、帝王切開の「帝王」という文字が使われているのか?について調べました。
今ではドイツ語の「切開切除」を日本語訳した際に「皇帝切開」と誤って訳した、という理由が定説のようです。