帝王切開の出産が決まると色々と知っておきたいことが増えてくるでしょう。
中でも“麻酔”について、特に知っておきたい情報の1つではないでしょうか。
陣痛を耐えての自然分娩はもちろん大変ですが、帝王切開での出産も本当に大仕事です!
今回は実際に帝王切開を体験した筆者が、麻酔について分かりやすく解説していきます。
プレママさんやママさんの不安が、少しでも和らいで出産に挑んでほしいと思います。
それでは最初に「麻酔は痛むのか?」についてお話しします。
1.帝王切開の麻酔は痛むの?効かないことはある?
帝王切開には「全身麻酔」と「局所麻酔」があります。
それぞれ麻酔によって痛みを感じなくさせるわけですが、最初に大事なことをお伝えしますと、麻酔をすること自体に大きな痛みはないでしょう。
全身麻酔は点滴により薬が投与され、局所麻酔は背中の硬膜外、または脊髄くも膜下という部分に針を刺して麻酔をします。
どちらも針を刺す時のチクリ!という感覚はありますが、普段から妊婦検診で採血を経験しているママたちには十分耐えられるものだと思います。
「麻酔が効かないこともあるのでは!?(;´д`)」と不安になる方もいらっしゃるでしょう(筆者がそうでした…)。
そのようなことが手術の本番中に起こっては大問題なので、実は手術日よりも前に術前検査があります。
この血液検査で、麻酔が効きにくくないか、血が止まりにくくないかなどをチェックします。
このため「まったく麻酔が効かない!!」といった事態にならないように進みますので、ご安心してくださいね。
2.術中の麻酔の効き方は?痛みのピークはいつ?
そして気になる術中ですが、全身麻酔の場合、点滴から麻酔を入れていき、瞬く間に眠くなって意識がなくなります。
気づいたら手術は終わっていることになるので、術中の痛みはほとんど感じないでしょう。
局所麻酔に関しては、筆者の体験をお話ししますね。
まず麻酔を背中から刺され、最初は足から、次第に胸の上あたりまで感覚がなくなりました。
麻酔科医の担当者が、麻酔後に効き具合を確認するため、体の一部に冷たいものを当てて「冷たいと感じますか?」と質問してきます。
当然、冷たくないと感じれば麻酔は効いていることになりますね。
そしてこの後、手術における切開の痛みは感じませんでした。
この時、感覚がある場合は遠慮せずに担当スタッフに伝えてくださいね。
ただこの局所麻酔ですが、痛覚や温度の感覚はなくなっても、不思議と触られたりする感覚はわかりました。
意識もはっきりしていますので、手術中に何やらごそごそと動いている!とか、赤ちゃんが出るときに引っ張られる感覚などが分かったのです!
これは本当に不思議な体験でした。
痛みはなく、引っ張られる感覚や圧迫感などは感じるので、まったくの無感覚という状態にはならないと思います。
インターネット上のママの出産体験談で「帝王切開の術中も痛かった」という声をたまに目にします。
あくまで筆者の考えですが、この引っ張られる感じや圧迫感を「痛い」と思ってしまうのではないでしょうか。
筆者も局所麻酔での出産の時、「赤ちゃんが出ますよー」というまさにその瞬間、何とも言えない気持ち悪さを感じました。
ですが大丈夫!赤ちゃんを見ればそんなものは吹っ飛びます!
術中に万が一痛いと感じることがあれば、遠慮なく先生に声をかけてくださいね。
病院によって対処は異なりますが、おそらく麻酔の量を調整してくれると思います。
少なくとも筆者は術前、当時の麻酔の先生にそのように言われました。
そして最も気になるかと思われる痛みのピークですが、大体の目安となりますが次の通りです。
- 全身麻酔:手術から目覚めてすぐ〜1日後
- 局所麻酔:手術から大体2~4日後
筆者の場合もピークは術後にやってきました。
また、局所麻酔は背中にしばらく刺していた痛み止め(麻酔)を抜いてからなので、全身麻酔よりもタイムラグがあるのかなと思います。
「じゃあ術後は痛みに耐えながらどう過ごせばいいの!?」と思いますよね。
忘れてはならない赤ちゃんのお世話もありますので、ゆっくりと休む暇はほぼありません。
次で術後の過ごし方を詳しく見ていきましょう。
3.痛みに対応できる術後の過ごし方は?
出産という大仕事を終えましたが、本当の戦いはこれからです。
創設から60年以上の実績がある、麻酔に関する学会組織『日本産科麻酔学会』が運営するサイトでは、術後の痛み止めについて次のように書いています。
全身麻酔の後にも点滴や筋肉注射、または坐薬の痛み止めを使うことが多いでしょう。
またお母さん自身が自分で鎮痛薬の量を調節できる器具を使って、点滴や硬膜外腔から痛み止めを入れる場合や、神経ブロック(痛みを伝える神経を狙って痛み止めの薬を注射する場合)もあります。
引用元:日本産科麻酔学会JSOAP「帝王切開の麻酔Q&A」
全身麻酔は点滴や服薬で痛み止めがあり、局所麻酔は術後しばらく背中に麻酔が入っていたので、産後すぐに何にも頼らず激痛を戦うことはありませんでした。
そして、この点滴や麻酔を抜いた後が頑張りどころでした。
後陣痛という子宮の収縮と傷の痛みがダブルで襲ってきます。
全身麻酔でも局所麻酔でも、術後すぐに歩けと言われましたので、麻酔が効いているうちに歩行を頑張って行うのがおすすめです。
ただ術後を快適にするためのポイントは、意外にも術後なるべくすぐ(麻酔が効いているうち)に動くということなんです。
東京・港区で病院を営む岡井 崇 先生(愛育病院)は、次のように語っています。
帝王切開後は、後陣痛や傷の痛みなどを感じる方が少なくありません。
しかし、術後はたくさん動く方が子宮の戻りも早くなります。
痛みがあって大変でも、痛み止めを上手に使いながら早期に離床して、歩くなど体を動かすようにするとよいでしょう。
引用元:帝王切開ナビ「帝王切開Q&A > 産後について」
ここで注意が必要なのは、勝手にガンガン動くのではなく、ちゃんと担当の医師や助産師さんの許可が出てから行いましょう。
いきなり激しく動くといった無理はせず、まずはベットの上で体勢を変える程度の運動から始めて、徐々に座る、立つ、歩くを自分のペースで行ってください。
すぐに動くのは辛そう…と思われる方もいますよね。
ただ2度の帝王切開を経験した私としても、動くことが一番効果的だと感じました。
術後に動くメリットは次の通りです。
- 術後すぐの方が麻酔が効いているので、歩行する勇気が出る
- むくみを解消できる
- 便秘を予防できる
- 体の感覚を取り戻しやすい
ついつい傷に気持ちが行ってしまいがちですが、私は早く動いたことでその後の痛みにも対応できました。
麻酔が切れて痛みが襲ってきても、すでに動けているので、自分の楽な体勢を取りやすくなりますし、動くことで便秘も予防できました。
便通もないとあとあと大変ですから、重要なポイントかもしれません。
(私は帝王切開1回目、歩行開始が遅く、便秘で苦労したという苦い経験がありますので…)
また帝王切開の術後、とてもむくみやすいので、動けるようになるとむくみの予防が出来て良いと感じました。
私は1度目が全身麻酔、2度目が局部麻酔でした。
早くに動き始めた2度目の方が、術後は圧倒的に過ごしやすかったです(私の感覚となりますが)。
術後3日目には、スタスタ歩いていたのを覚えています。
術後はなるべく早く、でも自分のペースで動き始めてくださいね!
きっとその後の入院生活が楽になりますよ。
4.まとめ(帝王切開&麻酔への心構え)
ここでの情報が帝王切開の麻酔について、少しでも参考になれば幸いです。
ポイントをおさらいしておきますと、
- 麻酔を刺す際の痛みは一瞬のもの
- 術中、痛覚はないが、圧迫感や引っ張られる感覚はある
- 術後、痛み止め麻酔を抜いてからが痛みのピーク
- 術後なるべく早く動くことが早い回復へとつながる
痛みには個人差が大きいですから、まったく痛くない!という人もいれば、痛くてつらい!という人もいます。
術中でも術後でも、痛みが辛いときは痛み止めの処方や、麻酔の量を増やすなど、医師や助産師さんの助けがありますので安心してくださいね。
赤ちゃんとの対面まであと少しです!
大事な出産に備え、少しでも知識をつけておくと安心ですよね。
出産を終えた後は、是非ご自分の体にお疲れ様と言ってあげてください。
頑張ってくださいね!