産後の抜け毛は生理的なものと分かっていても、実際にごっそり抜け落ちる自分の毛髪を手にするとショックが隠せません。
後述の目次をご覧いただくと分かりますが、ここでは大きく3つのお話(抜け毛の時期・原因・予防策)について解説していきます。
「本当にママのためになる情報は何か?」という点にこだわり、結果的に丸5日間かけて記事を書きました(1日8時間で計算・当記事と関連9記事も含めます)。
ママだけでなくパパが読んでも分かりやすい内容に工夫しています。
当記事の情報が少しでもママの悩みを解放できれば幸いです。
目次:
- 1.産後の抜け毛はいつからいつまで続く?
- 2.産後、抜け毛の原因は?
- 2-1.抜け毛は女性ホルモンの変化が原因
- 2-2.ヘアサイクル(毛周期)とは?
- 2-3.産後の抜け毛はヘアサイクルへ同時期に入るため
- 3.産後の抜け毛の予防対策
- 4.産後、抜け毛中のヘアカラーが駄目な理由
- 5.執筆後の感想
1.産後の抜け毛はいつからいつまで続く?
産後、抜け毛はいつ頃から始まってどのくらいまで続くのでしょうか?
医師の大鷹 美子先生(おおたか よしこ・東京都立 豊島病院 産婦人科)は「産後2〜3ヶ月に始まり、1年ほどで落ち着く」と答えています。
(赤ちゃんの)生後2~3カ月から半年くらいがピークで、1年くらいたつと元に戻り始めます。
引用:ベビータウン「専門家・専門メーカーからのアドバイス編・ 産後のボディケア」
ただ時期については個人差があり、特に授乳中など生理のない状態だと抜け毛の症状はあまり変わらないようです。
秋葉原スキンクリニックで院長を務める医師の堀内 祐紀先生(ほりうち ゆうき)の監修記事では、下記の通り紹介されていました。
少しだけ育児に慣れ始めてきた産後2~3か月くらいから抜け毛が始まる方が多いと言われています。
引用:マイナビウーマン子育て「産後の抜け毛はいつからいつまで続く?」
そして抜け毛のピークは産後6か月~1年頃であることにも触れています。
実際のところ、この時期は合っているのでしょうか?
続いて大手企業が先輩ママたちにアンケートを取った結果をご紹介します。
先輩ママのアンケート結果:産後の抜け毛は74%
ベビーカーやチャイルドシートなどのベビー用品で人気の『コンビ(Combi)』が運営する出産・育児サイト『コンビタウン』。
このサイトで過去にママを対象に抜け毛に関するアンケート(※)を実施しました。
※2012年9月に実施、有効回答数は591件
まず「産後の抜け毛が明確に増えた」と感じたママは 74%と全体の3/4近い回答となりました。
これでほとんどのママが抜け毛を体験していることが分かります。
次に「抜け毛が増えた」と回答してすでに抜け毛が治まったママに「どれくらいで抜け毛は落ち着いたか?」というアンケートに対して下記結果が得られました。
一番多かったのは10ヶ月〜1年未満で落ち着いたという方が「28.2%」。続いて7〜9ヶ月の「25.2%」。
ただけっこうバラけた結果を見て思うのは、抜け毛が落ち着くのは個人差があるということですね。
ここで掲載した抜け毛に関するアンケートの詳細は「妊娠・出産時期の抜け毛 お悩みアンケート ~妊娠・出産編~」で確認できます。
2.産後、抜け毛の原因は?
なぜ産後に抜け毛が増えるのでしょうか?
結論を言いますと、女性ホルモンの変化による影響が主な原因とされています。
2-1.抜け毛は女性ホルモンの変化が原因
妊娠中は母体の女性ホルモンの分泌が活発になります。
妊婦の体に影響を及ぼす女性ホルモンは主に次の2つがあります。
- 美人ホルモン(エストロゲン)
- 不細工ホルモン(プロゲステロン)
ここでは分かりやすくするために成分をそれぞれ「美人ホルモン」「不細工ホルモン」と呼びますね(笑)
まず呼び名からも分かるように美人ホルモンは、女性の豊富な髪・豊満な胸・つややかな肌など、女性的な体を作る働きをサポートする役割があります。
一方の不細工ホルモンですが、生理前のようにイライラ・肌荒れ・むくみなどの原因とされています。
でも不細工ホルモンは、女性の体が妊娠しやすいようにサポートする重要な働きをします。
下図をご覧ください。
▲参照画像:gooベビー「体のあちこちに色素沈着!原因はホルモンにあり」
妊娠中はこの2つのホルモンが一緒に増加することで母体は守られて、安全な出産ができるのです。
そしてグラフからは出産後(=分娩後)、2つの女性ホルモンが急激に減少していることも見て取れます。
実はこの女性ホルモンの減少によって妊娠中に抜け落ちなかった毛髪たちが、一斉に正しいヘアサイクルに入ることでまとめて抜け落ちるのです。
ここで理解を深めるために「ヘアサイクル」について簡単に説明します。
2-2.ヘアサイクル(毛周期)とは?
毛髪が生まれてから抜け落ちるまでの過程を「ヘアサイクル(毛周期)」と言います。
形成外科医師の峯岸 祐之先生(みねぎし まさゆき・東京国際クリニック院長)によりますと、ヘアサイクルは男女で周期が異なるようです。
ヘアサイクルは男性で約3年~5年、女性では約4年~6年の周期を繰り返しています。
引用:東京・丸の内の東京国際クリニック「薄毛の原因」
下図の健康なヘアサイクルのイメージをご覧いただくと流れが理解できます。
▲画像引用元:医療法人元気会 わかさクリニック「薄毛・抜け毛治療(女性)」
上図の通りヘアサイクルは次の3つの過程を繰り返します。
- ①毛髪が生まれて成長する
【早期・成長期】 - ②成長が止まって脱毛準備に入る
【退行期】 - ③毛髪が抜けて毛根がお休みする
【休止期】
もしヘアサイクルが何かしらの要因で乱れると早期・成長期の時間が短くなり(数ヶ月〜1年)、休止期が長くなります。
結果的に頭髪の総数も少なくなります(つまりハゲます)。
2-3.産後の抜け毛はヘアサイクルへ同時期に入るため
先ほどの女性ホルモンの話に戻りますが、医師の馬渕 知子先生(まぶち ともこ・マブチメディカルクリニック院長)の監修記事では「美人ホルモンには、毛髪の成長を促進する働きがある」と解説しています。
また不細工ホルモンについて「育毛を維持するような働きがある」とも書かれています。
つまり、妊娠中は女性ホルモンの量が増加して【③休止期】が延長されるので、見た目はいつもより髪が多い状態です。
でも産後になると女性ホルモンが減少し、これにともなって休止期に抜け落ちなかった毛髪たちがまとめて抜け落ち、同時期に正しいヘアサイクルに入ろうとします。
これが産後の抜け毛のメカニズムです。
一般の方で毎日50~100本の毛が生まれ変わりますが、健康なヘアサイクルの方の場合、“抜ける本数”と“生えてくる本数”はほぼ同じです。
さらに1本1本の毛髪のサイクル時期はずれるため、普段過ごす上ではあまり気になりません。
でも産後、一斉にごっそり抜け落ちる髪を目の当たりにしてママ達はショックを受けます。
しかし実情はヘアサイクルが一時的に乱れただけなので、恐れることはありません。
ここで解説した内容は「産後に起こるママの抜け毛には2つの原因があった」でさらに詳しく紹介しています。
※参考情報:スキンケア大学「出産後の抜け毛の原因と改善方法」
3.産後の抜け毛の予防対策
「産後の抜け毛は生理的現象だから気にしないで」と言っても髪は女性の命。
そんなママに少しでも抜け毛を予防する方法を下記に挙げます。
- なるべく睡眠を取るようにする
- 規則正しい生活を意識する
- 葉酸を摂取する
- 大豆製品を食べる
- 正しい方法で髪を洗う
- 低刺激性の抜け毛予防シャンプーでケアする
- 産後の女性用育毛剤を活用する
詳しくは「産後の抜け毛が気になるママへ7つの予防対策」で解説していますが、ここでは一部だけご紹介します。
大豆製品を食べる
女性ホルモンの解説でご紹介した馬渕先生の監修記事に「大豆製品を食べることが産後の抜け毛予防につながる」とありました。
この理由を次のように説明しています。
大豆に含まれるイソフラボンにはエストロゲン(美人ホルモン)と似た作用がありますので、乱れたホルモンバランスを整えるのに役立つことが期待できるからです。
引用:スキンケア大学「出産後の抜け毛の原因と改善方法」
産後は育児に専念して、ママ自身の食事が十分に取れないこともよくあるかと思います。
でも日頃から意識的にイソフラボンを摂取することで、抜け毛予防の効果が期待できますね。
ちなみに国が運営する食品安全の評価を行う機関『食品安全委員会』では、イソフラボンの1日に摂取する目安量の上限値は「70〜75mg」と紹介されています。
大豆は加工しても成分があまり失われることはないようです。
下記食品を摂るように心がけると無理なく続けられるでしょう。
- 納豆1パック:約35mg
- 豆腐1丁:約60mg
- 味噌汁1杯:約6mg
- 豆乳1パック(200g):約50mg
正しい方法で髪を洗う
産婦人科医の福山 千代子 先生(アヴェニュー・ウィメンズ・クリニック院長)が監修した記事には、髪の洗い方について興味深い内容が書かれていました。
次の手順で髪を洗うと頭皮を清潔な状態に保つことができるようです。
- 手順1.低刺激のシャンプー剤を選ぶ
- 手順2.ブラッシング→予洗いをする
- 手順3.38度程のぬるめのお湯を使う
- 手順4.シャンプーを泡立てる
- 手順5.洗い流して、しっかり乾かす
※参照:ヘルスケア大学「産後の頭皮のかゆみはなぜ起きる?」
特に産後の頭皮はデリケートな状態なので、しっかりケアする必要があると指摘しています。
この手順がそっくり動画になった映像を発見したので、どうぞご視聴ください。
※注意!動画ではドライヤーは「Cold」と伝えていますが、寒い時期にママの体を冷やしかねないので「Hot」でもかまいません
低刺激性の抜け毛予防シャンプーでケアする
産後ママの敏感でデリケートな頭皮に低刺激性のシャンプー剤がお勧めです。
中でも@cosmeで 1,500人以上の利用者が好評価を示した『haru kurokami スカルプ』は、産後ママのシャンプーとして人気があります。
抜け毛予防以外にも「黒髪を迎えやすい状態に整える(白髪ケア)」というダブル効果が期待できるのが特長です。
そして授乳中のママも使えて、リンスインなので1本で済むというコスパの良さ。
育児で時間のないママの強い味方になりますね。
産後、実際に赤ちゃんと一緒にお風呂に入るために購入した setan さんは、
4ヶ月で2本使いましたが発毛してるという実感があります。
(抜け毛やかゆみで)頭頂部がとっても悲惨だったのが、いつの間にか気にならなくなりました。
期待してなかったので、毎月行ってる美容院で指摘されて、やっぱり毛が増えてると認識しました。
引用:@cosme「haru kurokami スカルプ 口コミ」setanさん(30代 女性)
と満足したコメントを投稿しています。
また彼女は普通のシャンプーだと鼻炎を発症するほど香りに敏感なのですが、kurokami スカルプの香りは問題なかったと語っていました。
さらに抜け毛予防シャンプーについては「産後ママが使える抜け毛予防のシャンプー・ランキングTOP3」でご紹介しています。
・名称:haru kurokami スカルプ
・単品価格:3,888円(税込)
・送料:通常は全国一律500円(税込)
・@cosme評価:★4.8/全7.0 (レビュー数1,543件)
・公式ショップ:haruオンラインショップ

4.産後、抜け毛中にヘアカラーが駄目な理由
「ママになっても妊娠前のようにオシャレしたい!」
「妊娠してずっと放置状態だったので、ヘアカラーでリフレッシュしたい!」
そのお気持ち、かなり共感できます(笑)
でも授乳中のママは何となく「ヘアカラー剤を使うと、間接的に胎児に悪い影響があるのでは…」と考えてしまいますよね。
この点は医師や専門家などでも意見が分かれるようですが、乳児に大きな影響を及ぼすほどの害はないようです。
産後の抜け毛中にヘアカラーが駄目な理由は、頭皮の状態を悪化する可能性があるからです。
それは産後の次のようなデリケートな頭皮の状態に要因があります。
- 頭皮の汗・皮脂(アブラ)が分泌しやすい
- 頭皮が乾燥しやすい
またセルフカラーはお勧めしません。
なぜかと言うと、セルフカラー用のカラー剤に問題があるのですが、簡単に言ってしまうと美容室で使用しているカラー剤より髪や頭皮へのダメージが大きいようです。
とりあえず、カラーリングの最適なタイミングは「抜け毛が落ち着いた体調万全の状態に戻ってから」が望ましいことは覚えておきましょう。
もっと詳しく知りたい方は「産後、抜け毛中にヘアカラーが駄目な理由+母乳への影響など」をご一読ください。
5.執筆後の感想
記事を書き上げて思ったことは「実際に医師や医療関係者など専門家本人が書いたら、検索結果はもっと素敵な情報であふれるのに」ということ。
今、医療関連でググると上位を占めるのは、ほとんどがスキ●ケア大学の医師監修記事ばかり。
もちろん有益な情報を得られることもありますが、記事によっては「薄っ!」「浅っ!」と同じサイトなのにバラツキが激しいと感じるのは私だけでしょうか。
それでも検索結果の3ページ、4ページと進めると信用できそうな情報は埋まってましたけどね。
「どの記事が信用できるか?」という判断基準がかなり難しかったですが、後半にもなってくるとエイ!ヤー!と何とかまとめることだけに注力しました。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!