お産してから、急に体のどこかの部分に違和感を感じるママはたくさんいます。
そのような悩みを解決するため、ここでは下記5つのジャンルに分けて、14パターンの症状について解説していきます。
産後のママの体の中ではいろんな事が起きています。その基礎知識があると、産後も安心して過ごせます。ぜひ、一読してください。
産後に注意すべき症状
1.産後の発熱
産後、24時間以降〜10日間のうち、38℃以上の発熱を2日以上起こすと「産褥(さんじょく)熱 ※」という病気の疑いが考えられます。
熱や寒気を感じたらすぐに病院に連絡しましょう。「産褥熱は、かつて妊婦さんが死亡する最も重要な原因」と公表する医療関係サイトもあるくらいです。
ちなみに産褥熱の原因は、細菌の感染です。ただし、あらゆる感染経路が考えられ、感染源を特定するのが非常に難しいのも産褥熱の特徴とも言えます。
さらに詳しくは「産後、熱を感じたらすぐに医者へ!産褥熱の疑い?」をご覧ください。
※ 産褥熱:出産したママの体が妊娠前の元の状態に戻るまでの期間を指す。産褥期とも呼び、一般的に6週間〜8週間ほどかかる。
痛みを感じる体調不良
2.頭痛
産後に起きる頭痛は主に次の2つが考えられます。
- 偏頭痛(へんずつう):ズキンズキンと脈を打つような強い痛み
- 緊張型頭痛:頭の両側をギューッと締めつけられるような痛み。重苦しい鈍痛
埼玉国際頭痛センターで医師を務める坂井 文彦先生は、それぞれの頭痛の対処方法は異なるため、どちらのタイプかきちんと知っておくことが大切、と警告しています。
それぞれの対処法については「産後の頭痛で必ず知っておくべき重要なこと」で詳しく解説しています。
3.腹痛
産後の腹痛には、主に次の4つの原因が考えられます。
- 子宮収縮
- ストレス
- 悪露(おろ)
- 便秘
それぞれ症状も対処法も異なるので「出産後に起こる腹痛、4つの原因と対処法」で詳しくご紹介します。
4.腰痛
東京都の東久留米市で整体院を運営する「整体院ワンアンドオンリー」さんは、腰痛の原因を次の通り明確にしています。
産後の腰痛は、実はこの「腰に寄りかかった姿勢」に原因があるんです!
整体院ワンアンドオンリー「産後の腰痛」より
つまり、妊娠したらママのお腹がどんどん大きくなって、下記写真のように自然と腰を反(そ)った姿勢になります。するとママは腰に寄りかかる体勢となり、さらに出産直前には体重が 7~10kg 程(標準の場合※)と増加し続けます。
※参考:プレママタウン「にんぷの体重管理」より
このママが反り返った状態をずっと続けていることが、腰痛の原因だと指摘しているのですね。
これでは体のバランスを崩してしまい、腰以外の部分に余計な負担がかかってしまいます。さらに産後特有の“骨盤のゆるみ”が原因で、代わりにそのまわりの筋肉がしっかり支えようとすることで筋肉に負荷がかかります。
そして筋肉疲労を引き起こし、結果的に腰痛に悩まされるというものです。
腰痛の予防法については「産後、腰痛の本当の原因。知っておくべき5つの予防策」で分かりやすく解説しています。
5.恥骨痛(ちこつつう)
一般的に恥骨痛は、だいたい産後1ヶ月で自然と治まります。
赤ちゃんを産むために広がった骨盤(こつばん・女性の股間の骨部分)が日常生活を送れるくらいに締まって、安定するのに約1か月かかると言われています(ただし、個人差はあります)。
恥骨痛を和らげる効果の高い方法は「骨盤ベルト」を巻くことです。骨盤ベルトとは産後、ママの骨盤が自然に元に戻ろうとする働きをサポートする機能ベルトのことです。
また産後、ママがやってはいけない代表的な座り方として次の3つがあるようです。
- 横座り
- ペチャンコ座り
- イスに浅く座る
正解は「イスに深く、脚で座ること」ですね。
骨盤ベルト以外の対処法や体験談については「産後の恥骨痛で悩むママへ。痛みを和らげる2つの方法」をお読みください。
下半身にまつわる体調不良
6.尿漏れ(にょうもれ)
もし、お産後の尿漏れをして「もしかして自分だけ・・?」と悩む必要はありません。
尿漏れの原因は、「骨盤底(こつばんてい)」に大きな負担がかかることと言われています。
下図を見ていただくと分かりやすいのですが、骨盤底とは腰から下の骨盤の底にあります。これは子宮や膀胱、直腸・肛門などの臓器を支えています。
画像引用元:センター南ファミリア鍼灸整骨院さん「体幹トレーニング詳細 骨盤底筋!?」
またこの部分は筋肉・繊維組織から構成されていることから「骨盤底筋(こつばんていきん)」と言います。たいていは、この骨盤底筋が自然に回復していくと、症状も次第に治まります。
尿漏れの対処法については「出産後、尿漏れしやすい原因と2つの対処法」でご紹介しています。
7.便秘
産後のママは便秘になる傾向があります。でも「恥ずかしいから・・」と医師や助産師さんに相談しないと、大変な事態を招くこともあります。
出産後の便秘となる主な原因は、次の2つであることが考えられます。
- 縫合した会陰が裂けないか心配で、排便時に力を入れられない
- そもそも産後ママの体内に保有する水分量が通常より少ない
善くする方法は「産後の便秘で悩むママへ3つの改善方法」をご確認ください。
8.下痢(げり)
お産後の下痢と腹痛があまりにも長く続くケースは、「過敏性腸症候群」の疑いがあります。
過敏性腸症候群とは、下痢・便秘を伴い腹痛やお腹の不快感が長引く症状です。
この病気の主な原因はストレスだと言われており、不眠や不安、抑うつなど胃・腸以外の症状を引き起こすこともあります。
もっと詳しく知りたい方は「産後、下痢が続くのは要注意!病気の疑いあり」をお読みください。
9.おなら
出産後に急におならの回数が増えたママは“異常”ではありません。
これは当記事の「6.尿漏れ(にょうもれ)」で前述した、骨盤底筋の緩みによって引き起こされている可能性が高いでしょう。
ただし、骨盤底筋は鍛えることが出来ますので、いつから鍛えるのがベストかなど予防対策については「出産後、ママの おなら が増えた原因と予防対策」をお読みください。
外見や肌に関わる症状
10.むくみ
産後のむくみで驚いているママもいるかもしれませんが、これは一時的なものです。たいていは産後3週間ほどでむくみは解消され、良くなります。
むくみの要因は、体の中の水分(=血液 )のバランスが崩れたときに現れます。
むくみを解消する方法は「産後の“むくみ”は一時的なもの?原因と5つの予防策」で分かりやすく解説しています。
11.肌荒れ
出産後に肌荒れで悩むママは少なくありません。主な原因は次の2つが考えられます。
- 産後、ママの体の中で起きている大きな変化
- 慣れない育児によるストレス
肌荒れの改善方法は「出産後のママの肌荒れは何が原因?3つの対処法」で紹介しています。
産後に気にすべき体調不良・体調管理
12.貧血
血液の働きにおいて、重要な仕事は酸素を全身に運搬することだと言われています。ここで酸素を運ぶ役目を担うのが、血液中の赤血球(ヘモグロビン)です。
簡単に解説すると、ヘモグロビンの量が減少すると酸素の運搬量が通常より減ってしまい、これにより貧血を引き起こします。
貧血の主な症例として次の体調不良が挙げられます。
- めまいがする
- 疲れやすくなる
- 立ちくらみを起こす
- 顔色が白くなる
- 動悸(どうき・心臓が普段よりバクバクする)
- 息が切れやすい
- 頭痛がある
- 耳鳴りがする
- いつもより寒さを感じる
お産時、ママは赤ちゃんを産むと同時に大量の血液を失います。産後は毎日の授乳でさらに血液が不足がちとなり、ママは貧血を起こしやすい状態になります。
さらに詳しくは「産後、貧血気味で不安に感じるママの予防対策」をお読みください。
13.食欲が止まらない
産後、食欲が止まらないことで悩んでいる授乳中のママは大勢います。でも、変に食事制限をすることで母乳が出なくなる、などの悪影響が出るのは怖いですね。
でもご安心ください。この食欲旺盛は正常な証です。理由はママの母乳にあります。
ママの体が母乳を作るのに必要な1日のエネルギーは、およそ500〜800キロカロリーと言われています。これは食事1回分のカロリーに相当しますね。当然、この分のエネルギーの補充(=食事)が必要になります。
「産後の食欲が止まらない!ママが知っておくべき3つの対処法」では、あるママさんの実体験を元に無理のない食事制限をご紹介しています。
14.ストレスによるイライラ
「なぜだか旦那と一緒だとイライラする・・」「旦那と同じ空間にいたくない・・」など産後、旦那さんと距離を置きたいと思うママは、育児疲労が溜まっているかもしれません。
この状態が続くと最悪の場合、産後離婚に発展する可能性もあります。
でもママが大変な時期に支えることができるのは、パパしかいません。そこで、パパを味方に付けることで夫婦が円満になる3つのステップがあります。
- まず旦那さんの気持ちを理解してあげる
- 旦那さんを育児上手に育てる
- 旦那さんと赤ちゃんが2人で過ごす時間を作る
結局、普段からパパに赤ちゃんの面倒を見てもらい、手伝ってもらうこと。そして、夫婦お互いが感謝し合える仲でいられることが夫婦円満のコツです。
このポイントは「出産後、旦那にイライラするママに贈る!夫婦円満3つのステップ」で詳しく解説しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。14の症状を振り返ってまとめますと次の通りです。
- 産後の発熱
- 頭痛
- 腹痛
- 腰痛
- 恥骨痛(ちこつつう)
- 尿漏れ
- 便秘
- 下痢(げり)
- おなら
- むくみ
- 肌荒れ
- 貧血
- 食欲が止まらない
- ストレスによるイライラ
もし当てはまる症状がありましたら、早めに対処・改善・予防法を実行しましょう。
少し心配される症状の場合は、遠慮なくお世話になった病院に相談するか、近くのお医者さんに診てもらいましょう。